遊星ゲームズ
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ビッグシティ
 ボードゲーム

2010/05/03 02:55
ビッグシティ
Big City
1999年
Goldsieber Spiele
Franz-Benno Delonge
2~5人
60分
thx to play:game

 住宅地とかビジネス街とか公園とか、線路とかを、ボードの上に並べるゲーム。
 立体的なコマがたくさん入ってる。海外のボードゲームによくある「箱でかすぎwww」ではない。中身がつまってる。
 このコマを見れば、すぐにどんなゲームかわかるというもの。そのとおりのゲームだ。
 なにしろ立体物が並んでいくから、見栄えがいい。
 写真撮りたくなる。

bigcity.jpg

 見た目どおりのゲームだ。建物を建てる。建てると得点が入る。
 アクワイアみたいな、マスの位置が書かれたカードを持っている。大きな建物を建てるには何マスも必要だから、それだけつながったマスに対応するカードが必要になる。
 建物にはいろんな条件があったり、ある条件を満たすと得点が増えたりする。公園の横に住宅地を建てると得点が何倍、とか。
 大きい建物ほど得点が高い。難しい条件を満たすほど得点が高い。
 そんないろいろを考えながら、みんなでひとつの街を作っていく。そういうゲームだ。

 シムシティ系である。とりあえず、建物が並んだ様子を見てるだけで楽しくなってくる。
 同系列では、個人的に知ってるもののなかで一番近いのはメディナ。経緯は知らないが、たぶんあれには、ビッグシティからの影響が入っているだろう。いろいろと、似たルールが多い。
 なにしろシムシティ系なので、見てるだけで楽しい。逆にいえば、シムシティは見て楽しむ玩具なのだ。ゲームではない。
bigcity2.jpg ビッグシティも、見てるだけで楽しめてしまうという面がある。だってこんな(→)写真撮ってるだけでも楽しいし(さっきよりだいぶ発展してきてる)。

 だから、ゲームシステム自体が、そんな楽しさに覆い隠されてしまう面もある。
 わたしの感想としてもゲームは楽しかったけど、それははたしてゲームが楽しかったのか、シムシティが楽しかったのか。
 そんなことで、どこで線を引くべきか迷ったりもする。

 ゲーム自体は、分析するなら囲碁みたいなものだ。ひとつの盤面を共有して、他のプレイヤーより価値の高い場所に建物を建てる。あるいは、他のプレイヤーを邪魔する。強烈なインタラクションが働いていることになる。でも手札の乱数があるため、そんな印象は緩和されている。
 そのあたりのバランス感がいい。ビジュアルに覆い隠されているが、ゲーム面もよくできている。

 しかし、じっさいのところ、このゲームの主眼はやはりシムシティ的楽しさだろう。それでいいとも思う。
 ゲームシステム自体も、そんなデザインになっている。
 たとえば、建物の配置と得点に関するルールが非常に細かい。早見表があるのだけど、これを見ながらでも初見で全部憶えるのは難しい。
 通常なら、これは欠点とされるものだろう。ゲームデザイナーは基本的に、こういう煩雑さを嫌うものだと思う。
 それなのになぜこうなったかというと、それは「建物を建てる」部分を優先したからではないか。
 土地(手札)を集め、建物を建てる。プレイヤーがやるのはあくまでそれだ。それ以外ではない。コンポーネントから想像できる、そのとおりの行動だ。直感的にわかりやすい。
 そこにこそ、このゲームの目的があった気がしている。
 調整のために細かいルールが必要だったが、そこは些事だ。むしろ、プレイヤーが把握してないくらいでちょうどいい。

 そんな風に思えるくらい、シムシティが楽しい。そのせいで、ゲームとして冷静に評価しきれない。いやむしろ、そうすることに意味がない気さえしてくる。たとえばこのゲームシステムに欠陥があったとしても、いいんじゃないか。
 プリミティブな、ゲーム以前の楽しさがあるといえる。「ゲームとは!」とかそんな理屈の外で、問答無用の楽しさがある。
 少なくともコレクションとしては、ぜひほしい。手に入りにくそうだけど。

cut4.jpg

ビッグシティを