遊星ゲームズ
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リミット
 ボードゲーム

2006.01.15 08:23 てらしま
リミット
LiMiTS
2001年
AMIGO
Uwe Rosenberg
2-6人(4-6人)
45分

 中央に一枚置かれたお題「リミット」カードには、5色、5つの数字が書かれている。
 プレイヤーには5枚の手札があり、うち一枚は自分の前に伏せて置いておく。この伏せたカードが、非常に重要な意味を持っているのだけど、それは後述する。
 ターンが回ってきたら、場にカードを一枚出す。このカードは「リミット」カードにある5色のうちいずれかの色がついている。
 カードを出すときは、表向きに出すのだが、下の札が見えないようにきちんと重ねて出さなければならない。
 さて、ここからが勝負だ。自分のターンには、このカードを出す行動の代わりに、誰かを「告発」することができる。
 なにを告発するのかといえば、つまり、場に出されているカードのうちいずれかの色の枚数が、「リミット」カードに書かれているその色の数字を上回ってしまっていることを告発するのだ。
 告発に成功すれば得点、限界を超えてカードを出していたプレイヤーは減点になる。
 まさに、ほぼ完全に記憶の勝負だ。
 記憶力のチキンレースである。崖に向かってどこまでブレーキを踏まずにいられるか、というあれだ。ただし、崖は5つある。
 やることは簡単。無言で、集中して、たった5つの数字をインクリメントしていけばいい。リミットを越えていたら告発、そうでなければカードをだす。それだけ。非常に単純なゲームだ。
 ただし、これだけでは単純すぎるので、前述した伏せカードがある。
 この伏せカードは「リミット」の数字を加算する。赤いカードが伏せられていたら、その枚数だけ、赤のリミットが大きくなる。だから、リミットが「0」でもカードを出していいのである。
 読みあいの要素……といいたいが、まあ実は、この部分に関しては情報が少なすぎて読みまでいかず、ほぼ乱数だと思っていい。むしろ、正確なリミットをわからなくする効果として重要だ。
 そんなゲームだ。
 相手の手札や思考を読む必要はほぼないのだし、もしもプレイヤーが全員、完全なデジタル記憶を持っていれば、たぶん単純すぎてゲームにならない。
 5色の数字を憶え続けることは、人間にとってはわりと大変だ。大変だが、やってやれないことはない。たとえばこれが4つなら、簡単すぎただろう。6つなら、憶えることは不可能ではないが、情報が多すぎて散逸してしまい「ゲームへの集中力」を維持することが難しいと思う。
「5」というのはたぶん、人間にとって、そういう限界点にある数なのだ。戦隊ヒーローが5人なのも、M:tgの色が5色なのも、同じ理由なのではないだろうか。脳の中で、一つ一つの色にキャラクター(性格でも属性でもいいけど)を与えて情報を補完することで神経細胞の結合をうながし、記憶する。この作業の過程で、情報に与えることのできるキャラクターの種類が、たぶん5に近いのではないか。
 こんな煩雑な方法をとるのは、プレイヤーが人間だからだ。コンピュータなら、連想など使う必要もなく、5つの数字を無感情に憶えるだけ。伏せカードがあるから必勝のプレイをすることはできないが、人間では太刀打ちできない程度の強さは容易に実現できるだろう。
 しかし、プレイヤーは人間なのだ。人間の不完全さ、記憶のあいまいさの絶妙なラインを利用した、好ゲームである。
 もちろん、これくらいならば完全に記憶してしまう超人もいるわけだが……。
 ただやはり、ただの数字なので地味だ。数字が5個も書かれたカードを見せられると引いてしまう場合が多く、どうしてもプレイする機会が少なくなってしまいがちになる。
 そのあたりは、同系列の傑作「マンマミーヤ!」に負けているかもしれない。もちろんリミットのほうが優れている点もある。チキンレースのなんともいえない緊張感とか。わたしはどちらも好きなのである。
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リミットを