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ルールズ・オブ・プレイ(上) ゲームデザインの基礎
 読書

amazon ゲームデザインの観点から見た、ゲーム研究についての本。
 ゲームというとコンピュータゲームを思い浮かべるかもしれない。じっさいこういう研究は、コンピュータゲームの分野のほうがはるかに進んでいる。人口が違いすぎるのでそりゃそうなんだが。
 だからもっとコンピュータゲームよりかと思っていた。しかし意外とそうでもない。
 この本が扱うのはとにかくゲーム全体だ。内容を見ると、むしろコンピュータゲームよりもボードゲーム寄りという気さえしてくる。
(あと、クニツィアやガーフィールドの寄稿なんてのもある)
 まだ読みはじめたところなんだけど。これは本当に超おすすめの本という気がしてる。

 英辞郎によれば「ルール」という言葉にはけっこう広い意味がある。
 ゲームのルールや法律はもちろん。日本語でいうルールには微妙にない「支配」とか「公式」なんてニュアンスも含まれる。
 あとあまり関係ないが「抜群である、最高である」というニュアンスをもつ俗語にもなる。たとえばアメリカのジャパニメーションオタクは「K-ON RULES!!!」と叫ぶ。
 この本のタイトル「ルールズ・オブ・プレイ」を直訳すれば「遊びのルール」ということになる。しかし、そうするわけにはいかなかっただろう。日本語の文脈に組みこまれてしまえば、日本語の慣用に限定された「ルール」にしかならない。たぶん、このタイトルはもう少し広い意味を含んでいる。
「プレイ」も同じだろう。
 あとこれ、間違いなくゲームについての本なのだけど、ルールズ・オブ・ゲームではなくルールズ・オブ・プレイなのだ。このあたりには強い意欲を感じるわけで。
 まあ「遊びのルール」じゃいかにもつまらなそうだし。

 この本の存在は知っていた。でもいままで読んだことがなかった。なぜなら、英語力が足りなすぎるから……。
 でもなんか影響力大きい本らしいし、ずっと気になっていた。
 それが、つい2日ほど前、邦訳版が出たのだ。
 もちろん大喜びで買って、いま読みはじめたところである。

 とりあえず最初に書いてあったのは、この本が語ろうとする領域の定義。ゲームデザインといったときの「デザイン」とはなにを意味するのか、プレイヤーとはなにか、ゲームが与える意味とはなにか、ゲームに必要不可欠な「インタラクティビリティ」とはなにか。ひとつひとつ、丁寧に定義していく。
 そして最後に、この本が語る「ゲーム」を定義する。
 ここまでで、170ページ。
 この部分の丁寧さと慎重さには、やはり、デリケートな問題なのだなあというのを感じるわけだけど。
「定義の話なんてつまらない」?
 まあ、そういう意見もあるだろう。たしかに世の中には、つまらない定義論も多い。
 でももちろん(せめて、もちろんといわせてくれ)、正しく使われる定義には意味がある。
 少なくとも。わたしにとっては、こんなにエキサイティングな本はないですよ。

 この本の重要なテーマとして「意味ある遊び」というのがある。らしい。
 英語でミーニングフルプレイ。
 意識的なゲームデザイナーや論客なら、この言葉だけでいくらでも語れると思う。
 この本に語られているのは、そういう領域の話。なかなか問題がややこしすぎて明文化されないけど、職人たちがじつは理解し実践していたものだ。感覚的にではあっても。
 そういうのを体系づけてまとめるという試みだ。そういうふうに見ている。

 代表する一冊的な。マスターピース的な。そういう雰囲気を(いまのところ)強く感じている。
 なにしろ、わたしがこのサイトとかでグダグダいってることと、立場が非常に近いんである。
 これはもうしかたない。わたしはこの本を高く評価することになるだろうと思う。
 なので、そのあたりは差し引いて聞いてもらっていいのだが。わたしがいまいいたいことは、
「全員読め」
 だ。

#あくまで読みはじめたところの感想だけど。

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ルールズ・オブ・プレイ(上) ゲームデザインの基礎を