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Missing5~8
 読書

Missing3・4 首くくりの物語
甲田学人 電撃文庫

2006.02.27 19:44 てらしま

Missing2 呪いの物語
2006/01/31 23:33 読書
Missing3・4 首くくりの物語
2006/02/27 19:10 読書
Missing5~8
2006/02/28 01:53 読書
Missing 神隠しの物語
2006/01/24 18:01 読書

 というわけでへろへろ読んでます。一冊づつ書くの面倒なのでまとめちゃったり。
 印象としては、3・4巻がピークでその後はほぼ同じレベルを続けている感じである。
 毎回「〜の物語」と題されているくせに、5巻くらいからは完結する話ではなく、次に続く話がだいぶ入ってきている。
 続く話の問題点は、なにしろ「敵」が設定されちゃうところだ。怪談のおもしろさは見えないものへの怖さだろうのに、はっきりと敵が出ているんだから、だんだん怪談ではなくなっているわけである。
 魔術師たちの闘争が裏にあり、それに翻弄されているのが主人公たち。でもそろそろやばいので魔術師に反撃しよう、例の主人公「魔王様」はどうやらほんとに強い素質があるらしく、という話がだいぶ固まったのが8巻。
 暴力で戦う話ではない。基本的に、理屈を積み上げなければ怪異とは戦えないことになっている。だったら、敵に理性がなければどうしようもない。完全に狂っていて理屈が通用しない相手では、この話では戦いようがない。
 魔術師は異界に精神がとりこまれちゃってるので、基本的に狂っている。そういう設定だったはずだ。
 けれど「敵」である以上、狂いっぱなしでは話にならないのだ。狂った相手をやっつけるには殺すのが一番(あくまで物語の中では)だが、高校生である主人公たちにそういう力はないのである。
 で、実は魔術師たちもそれなりに目的があって行動していることが判明してくる。つかみどころがなかった人の姿が、少しずつ見えてきた。
 主人公たちにも対抗の手段ができてきた。
 ところが。そうなると、狂っていたはずの、その狂いっぷりがいいキャラクターだった人が、正常に見えてきてしまうのである。立っていたキャラクターが、少し揺らぎだしている。
 この小説の世界が持っていた闇の部分が、判明してきちゃったわけである。闇がなくなってきたのだ。もはやどんどん怪談をやれなくなっている。
 それに加え、なにしろもう何人も人が死んでいる話だ。この状況でどうなれば主人公の話が完結するのかも、まだよくわからない。
 とそんなあたりで不安が首をもたげてきたあたり。
 とはいえ「どーすんだこれ」と思うから先を読みたくなる面もあるし、実際ここまでは充分におもしろい。最近ライトノベルではろくでもないものばかり掴まされてきたせいかもしれないんだけど「傑作」の一つという気もしている。
 シリーズものの宿命で、ひずみが少しずつ見えはじめている。これを修正して、ちゃんと話を結論させる手段は、もう残っていないかもしれない。そういう不安が、特に8巻で強かった。

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