いってきました!
写真撮り忘れたので文章だけだらだら書きます。
今回、新たな試みといいますか、いままでやってなかった体験卓をとってみました。料金はかかるんですが、自分のゲームを体験してもらってアピールできる場ということで用意されているテーブルです。
ただ買うだけならイベントの意味がない、体験できるからゲームマーケットにいくんだ、という意見も聞こえてきたりします。そうかもしれない。ということで、いつかやってみようと思っていたのです。
といっても人手もあんまりいないし、そんなに派手な企画をやれるわけでもなく。今回の新作の一つ『赤の女王』がちょうど軽めのゲームなので、置いておいて興味を持っていただいた方がいたら触ってもらえればいいかなというくらいの、まああまり準備もせずに当日を迎えたわけです。
さて、当日の朝。ブースについてまず思ったことは、
「狭い!」
売り場の前に体験卓があるんですが、その売り場と体験卓の間の距離が1メートルほどしかありません。
ちなみに会場図は↓。これの112番がわたしたちの場所でした。
見てのとおり島の端なので、じつは広さに関してはまだマシなんですが。それでも狭い。また、目の前がお隣のサークルの卓という欠点もあります。
売り場に商品を積んでみたものの、どうにもここでお客さんをさばける気がしません。うしろにはすでに開場待ちの行列ができています。いつも朝一番はどうしたって混みます。
ひとしきり考えた結果、体験卓の方に売り場を移動してしまいました。
これ、いちおうスタッフの方に相談してやってるんですが、正直どうだったんだろうと思っています。たまたま島の端だからよかったですが、もしも全部のサークルが同じことをやりはじめたら混乱するかもしれないわけで。
でも開場から1時間くらいの混みようを見た限り、正直ああしないと無理でした。うーん。
大阪は前回も通路が狭かった印象があります。今回は会場が広くなって、前回よりはだいぶ歩きやすかったですが、体験卓と売り場の間だけはちょっときついです。これなら体験卓ない方がいいというサークル多いんじゃないかなあ……。
次回以降は配置を考えてもらえればなあと思います。
(春はビッグサイトだし、広いので大丈夫だと思ってます)
さて朝の1時間くらいはそんな感じでやってたんですが。開場後の混雑が落ちついてきたあたりで本来の売り場に移動して、体験卓を開始しました。
その後はだいたいずっと、新作の一つ『赤の女王』のインストをしてました。おかげさまでたくさんの方にきていただけまして、楽しかったです。ありがとうございました。
体験卓って、けっこう利用される方いるんですねー。楽しんでいただけていたらいいなあと思います。
体験卓で遊んでもらうと、ふだんのテストプレイではわからないことに気づいたりもします。そういうプレイがあるのかとか、意外な展開になったりとか。ゲーム制作者にとってはとてもいい場という気がしました(実験台にしてるわけじゃないけど)。
いっぽう難しいのは、サークルへの負担が大きいところです。
ゲームマーケットではスタンプラリーというのがあって。体験卓でゲームを遊んでくれた人に押してください、っていうことで、サークルにスタンプが渡されます。これを集めると、福引きに参加できます。
で、このスタンプを集めている方というのがけっこういるわけです。子供連れのご家族とかが、けっこうたくさんのサークルを回っていたりします。
これ、わたしの目には、異常な事態に見えました。
だって、子供連れの家族が、同人ゲームを遊びにくるんですよ。
おもしろいかどうかなんてなんの保証もない、ちゃんとお客様の相手をできるかどうかもわからない、もしかしたら倫理に反する内容があるかもしれない、それが同人というイメージを持っています。そんなところに、純粋にイベントを遊びにきたお客様が、きてしまうわけです。
ああ、これはこういうイベントなんだと。じつはちょっと怖くなったりしました。
あの場では、オタクの趣味であることが許されないんです。子供が遊びにくるんだから。同人サークルに、商業製品と同じかそれ以上のものが求められてしまう。
(もちろん、だいたいのサークルはちゃんとやれているのでしょう。そこはさすがボードゲーマーというところでしょうか)
なんというか、極端に軽いゲームばかりが流行して見えるのも、無難な題材が多くなるのも、わかるような気がします。あの場を想定するとしたら、そうしないと怖い。
とはいえわたしが作るゲームに変わりはないんですが。今回の『赤の女王』はちょうど軽めのゲームだったのでよかったですが、次回以降は重めです。
今回の経験を活かして、体験卓をどう活用したものか、いろいろ考えようと思いました。
そんなわけでいろいろ考えたりしたゲームマーケット大阪です。お疲れ様でした。
去年に続き、ゲームマーケット大阪に出ます。
今回はイベントスペースとっちゃってますが、どうするんだろう。体験卓立てるようなゲームあるかなあ……。てきとうに遊んでてもらったらいいと思います。
新作は500円ゲームズ企画参加作品ということで、500円のゲームを2つ用意してます。
シンプルなサイコロゲームです。A5のボード1枚と、木のコマ7個、サイコロ2個を袋に入れた形態になります。
500円ゲームズでボードって、あんまりなさそうな気がしてますがどうだろう。このボードの美しさはちょっといいんじゃないかなーと思っています。また森木ノ子さんにお願いしちゃったわけですが。
生物の進化がテーマです。
手番プレイヤーは、サイコロ2個を振ります。で、ボード上の「適応マーカー」と「環境マーカー」の距離を超える数が出たら成功。1点入ります。
ここで左隣のプレイヤーは、環境マーカーを2マス動かすことができます。
動いた環境マーカーを見て、手番プレイヤーは、さらに挑戦を続けるかやめるかを選びます。挑戦に失敗したら、そのターンに獲得した得点は全部なくなります。
という、おなじみの強欲のゲームですね。
左隣のプレイヤーが目標値を動かすので、そのへんで微妙に変なジレンマが出てきたりします。手番プレイヤーのジャマをしたいんだけど自分に有利な位置に動かしたくもあってどうしよう、みたいな。
2~4人。20分くらい。
よくわからないタイトルですが、なんとなくつけたのであんまり意味ないです。
160ページの文庫本です。文庫本ですが多人数ゲームです。
プレイヤーは栞か付箋に名前を書いて、好きなページに挟みます。ページには記号と、得点が書かれてます。ターンとかラウンドとかそういうのないので、いつでも好きなときに挟んだり移動したりしていいです。
それっぽい言葉でいうと「非同期プレイ」なのです。
ゲーム終了の時間になったら、各ページの得点を計算して、一番点数の高かった人の勝利。
ゆるくいつでも見ていいよというゲームです。てきとうにボードゲーム会会場の片隅などに置いておいて、手の空いた時間などにちょっと見る、という使いかたおもしろいかなあと思ったんですが、どうだろうなあ。
500円だからと思って好き放題やった実験作です。
8~25人くらい。プレイ時間は適当に。
500円ゲーム、作ってみるとけっこう楽しいんです。とにかくいつもとは違う考えかたをしないといけなくて、まるでパズルをやってるような感じです。
500円ってね、絶対に赤字なんです。原価は500円以内ですが、在庫は残るものだし、送料とかイベント参加費とかいろいろあるし。
わかっててやってるんだからつまり、いつも以上に、自分が楽しむためという側面が強いです。極端にいえば売れなくてもいいんですね。もう楽しんだんだから。
とはいえとてもいいものができたと思います。ぜひお手にとってみていただければと思います。
たぶん体験卓でも遊べる予定です。
他は、たぶん『テーブルゲームデザインの本』などがあると思います。
『街コロ』のグランディング。街コロもすごいなと思ったのだけど、これはもっとすごい。
江戸時代の商人になって、全国各地にある名物茶器を売買するゲームだ。茶器の需要がボードに表されていて、手に入れた茶器はそこに示された値段で売れる。売られた茶器は値段が下がり、売られなければ上がる。そのあたりはよくあるといえばある。
特徴は、その茶器の入手方法。
茶器はカードなのだけど、これがいくつかの山札として積まれている。この山札にはそれぞれ「東海道」「南海道」などと名前がついている。買い付けのために旅をするのである。
で、行き先を決めたら、その山札を手元に持ってくる。全員が山札を持ったら、合図と同時にそれを見る。一斉に。じつはアクションゲームなのだ。
一斉に山札をサーチして、買いたいものを何枚でもとる。もういいと思ったら、山札を戻して番号札をとる。この後の売却フェイズでは、この番号札の順番に売る。売られた商品は値段が下がるので、早い順番をとらないとせっかくの商品の値段が下がってしまうかもしれない。速さも大事だ。
全員が買い付けを終えたら、売却フェイズ。番号札の順番に売っていく。
売却が終わったら需要が動く。残っている商品は値段が上がり、新たな商品が需要ボードに追加される。そしてまた次のラウンド。
規定の金額を稼いだら、そのプレイヤーの勝利だ。
山札をサーチすることをゲームにしたアクションというのは、いわれてみればすごくおもしろい。それに、自然だ。なぜ思いつかなかったのか。
あと、楽しい。これが大事だろう。
どちらかといえば軽量級の、ハードコアゲーマー以外にも訴求するゲームだ。こういう市場を取り込もうとする上で、楽しさというのはとても重要だろう。
少し極論をいえば、ゲームの展開やジレンマを楽しめるのはハードコアゲーマーだけ。カジュアルゲーマーにも訴えるためにはまず、ただ参加しているだけで楽しい要素が必要だ。
同じグランディングの『街コロ』は、サイコロをふる楽しさがあった。サイコロはやっぱり楽しいし、ちゃんとそれを強調する作りになっていた。そして今回のすきものでは、山札のサーチという、これまた楽しいアクションを取り入れた。
たくさんの数を売るための方法はいくつかあるだろうけど、そのうちの一つかもしれないのが、カジュアルゲーマーに訴求するものを作ることだ。重量級のゲームでも苦にしないハードコアゲーマーは桁外れの数を買うが、人数が少ない。日本に数百人とか、その程度じゃないだろうか。だから、ハードコアゲーマー以外のカジュアルゲーマーにも買ってもらう必要がある。
そのために考えられる対策は、軽く楽しいゲームにすることだろう。事実、多くの人がやっている。だがじつはそこには矛盾があって。エヴァンジェリストとなって勝手にゲームを宣伝してくれるハードコアゲーマーがまず受け入れないと、カジュアルゲーマーはゲームの存在に気づくことができないのである。
そんな話は『「ヒットする」のゲームデザイン』という本に書いてあったのだけど。まあ必ずそうだとはいえないだろうが、そうかもしれないと思う。
つまり。軽さや楽しさを基調にしつつも、ハードコアゲーマーが受け入れられるゲーム性もちゃんとある、そういうものがいい。ということになるんじゃないか。それに、コアなゲーマーだって、楽しいものは楽しいのだ。
(「ゲーム性」というのはすっかり炎上マーケティング用語になっているのだけど、まあここではあまり気にしないように)
もちろん方法はこれだけではないだろうけど、考えられる方法の一つとはいえるんじゃないか。
そんな条件を、ちゃんと満たしているという気がするんである。それも『街コロ』に続いて。なんとも、感心する。
あと、なんというか、現実的なコンポーネントで作られている。あくまで一般的なカードとか、サイコロとか、厚紙製チットとか。
楽しさを演出する簡単な方法は、豪華なコンポーネント。大きな立体物を使うことだ。でもそれはコストがかかるし、ボードゲームのインフラがない日本ではけっこう大変だと思う。街コロとすきものは、そうした方法に頼らずに楽しさを演出できている。
これをやるためには、斬新な発想や理論が必要なはずなのだ。完成品を見れば自然に見えるのだけど、そうじゃない。自然なものこそ難しい。
かなりすごいゲームじゃないかと思うのだ。
グランディングのゲームは次も注目したい。
てらしま -2013/02/14 22:51
と思っていたらtwitterで教えていただいたんですが、同じシステムのゲームがあるそうです。
邦題がないようだけど『プレステル建築ゲーム』でいいのかな。
なるほど。やってみたい。
BGGにルールブックもありました。
得点のとりかたなどは違うようですが、山札サーチするあたりの手順はたしかに同じですね。
2013年ももう12分の1がすぎちゃってるんですが、サークル「遊星からのフリーキック」の今年の活動予定的なものを書いておこうと思います。
なんていうかさ、多すぎじゃね? 無理じゃね?
いろいろと流れでこうなってるわけですが、まあてきとうにやります。無理なら気軽に落とします。
そんなわけで、まずは3月のゲームマーケット大阪と4月のゲームマーケット春です。いま絶賛いろいろと動いてますよ。
冒険者たちがダンジョンに潜って財宝を集めるゲームなんだけど、これがひどい。
まず、ゲーム終了条件は冒険者たちが全員死ぬこと。全員死んだ時点でもっとも多くの財宝を持っていたプレイヤーの勝利だ。いろいろな能力を持った冒険者が登場するのだけど、けっきょく最後には死んでしまう。悲しい。
プレイヤーはひとりの冒険者を担当するのだけど、その決め方がまたひどい。ここがゲームの肝だ。
人数分の冒険者が場にいる。最初のプレイヤーはそこから、ひとりを選ぶ。次のプレイヤーは、場に残った冒険者を選んでもいいのだけど、他のプレイヤーが持っている冒険者を選んでもいい。
他のプレイヤーが持っている冒険者を選んで獲得したら、そこに1個以上の「自惚れトークン」をつけなければならない。
「自惚れトークン」である。
ちなみにこの訳はゲームフィールドによるもの。この言葉がとてもいい(笑)。原語は boasting なので、大言とかほら吹きとかそんなニュアンスだろう。
自惚れはもちろん、悪い効果なのだ。つくと弱くなる。でも、多少自惚れてもそっちのほうが強いと思ったら、他のプレイヤーから奪う。
人気のある強そうな冒険者はひっぱりだこになる。そしてどんどん自惚れていくというわけだ。
一種のオークション的なシステムになっている。強い冒険者ほど人気があるから、弱くなる。理屈上、最終的には横並びになるはずだ。
テーマはバカだけどすごくいい。バカだけど。
自惚れトークンには6種類ある。
つまり、
「俺ならあんなダンジョン、朝飯抜きでジャグリングしながらでも潜れるぜ」
とかそういう。酒場で大口を叩いていたら引っ込みがつかなくなったのだろうか。
冒険者は、クラス(職業)と武器の2枚がセットになっていて。この組み合わせ次第で、強さにだいぶ差が生まれる。とても強かったり使い物にならなかったりする。
でもその差は、自惚れで埋めろと。
せっかく強い冒険者がいても、そういうのは大人気になるから有頂天になって、どんどん自惚れてしまう。二日酔いで片手縛りでジャグリングしながらダンジョンに潜ることになったりする。
この冒険者の選び方が、ガントレット・オブ・フールズのほとんどすべてなのだけど。
さて、各プレイヤーが担当する冒険者を決めたら、いよいよダンジョンに入る。イベントカードをめくって、たいていはモンスターが出るから戦う。倒したら財宝が手に入り、攻撃を防御できなかったらヒットポイントが減る。
ここではもう、プレイヤー間のインタラクションもほとんどない。協力もしない。ほとんどソロプレイだ。クラスや武器の能力を使うかどうかという選択はあるが、それも大したことはない。
全員が死んだらゲーム終了。一番多く財宝を持っていたプレイヤーの勝利。
ヴァッカリーノといえばもちろんドミニオンなんだけど。じつはこの人けっこうバカだよねというのがわかってきた。ネファリアスとかガントレット・オブ・フールズとか、こっちが本性だろと思う。
ゲームデザイナーとしての特徴はなんといっても「毎回違うゲーム」という部分。必ずゲーム開始時のランダムが入っている。このゲームもそうだ。冒険者はクラスと武器1枚ずつの組み合わせで表されるのだけど、クラスも武器も何十枚も入っている。でもゲームで使うのは、プレイヤー人数分だけ。組み合わせ数はすごく多い。
この方式の利点はリプレイ欲求が高いこと。でもそのためには1回のプレイが楽しくないといけないし、短く軽い方がいい。そのあたりも徹底しているのがこの人のいいところだ。ドミニオンにしろキングダムビルダーにしろ、開始時のランダムのために多様性を確保するための要素数は残すが、残りはできるかぎり簡単にしている。
ガントレット・オブ・フールズも、そんなことに特化したゲームだ。ルール自体の量が少ないというわけでもないが、とにかく直感的でわかりやすい。収束性が悪い場合が若干あるが、たいていは早く終わる。
だいたい2回やらないとゲームになった気がしないから2回はやる。ふつうに2回目をやろうと思えるし、そういえるゲームだ。
バカゲーは好きだし、受けがいいから卓も立ちやすいのだけど。バカだけに調整が甘いことが多くて、収束性が悪くゲームが長くなるなんてことがよくある。本当は、バカゲーはネタの新鮮さが残っているうちに短く終わってほしいのだけど。
こういう短時間で完成度の高いバカゲーは貴重だ。意外と、適度なものは少ない。
けっこうお気に入り。