『王への請願』という、大変魅力的なゲームがあった。サイコロを振ってサイコロを増やしたり目を操作する能力を得たりというあのシステムは、非常に魅力があった。あえてサイコロですべてを解決してみせる、根性がかっこよかった。
でもあのゲームには問題があって。
目を操作したりとかそんな小細工をがんばっても、けっきょくツいてる奴が勝ってしまうんである。
サイコロ勝負だから。
それがわかってくると、もうサイコロの数を増やすことしかしなくなるんである。
目は自力で振ればいい。振らなきゃ負け。そう考えるようになってしまうんである。
だって、そうしないとツいてる奴に追いつけないし。
まあそれはサイコロをテーマに選んだ以上当然。むしろ運ゲーじゃないほうがおかしい。たぶんあのゲームはそういう姿勢で作られていた。
そのあたりも潔くて、かっこよかったのだ。
しかし、それだけでは終わらない可能性が、あのゲームにはあった。
どこか調整が足りない感じとか、よさを消さないようにあえて大雑把に作られているような感じとかが、そういう雰囲気を助長していた。
同じようなロジックを使って、なにか他のことができそう。
そこで、この天空の巨人だ。
いや、本当にそういう流れなのかどうかは作った人に訊かなきゃわからないけど。
プレイヤーからすると、ニーズどおりのゲームだったんである。必然的に登場したように思えたんである。
王への請願のように、ダイスでダイスをパワーアップするシステムを使うゲームだ。
でももっといろいろな要素が足されている。しっかりとチューンされたゲームになっている。
たとえば、サイコロは目の違うものが3種類ある。獲得カードのうち「開発カード」は色によって置く場所が決まっていて、最大6枚しか持てない。
カードは「開発カード」と「気球カード」の2種類があって、これは生産力を強化するものと勝利得点カードの区別。
「生産力を強化するか勝利得点をとるか」
「どこで勝利得点獲得にシフトするか」
というジレンマは、サンクトペテルブルグなどでおなじみのものだ。
ようするに、なにかすごくチューンされた、まともなゲームになっているんである。
気球を作るゲームだ。
左の写真のように、すごく長いボードをつかう。
ちなみに、一番上に見えているのがヒンデンブルグ号。
気球カードには勝利得点が書かれているので、たくさん作ると強い。ただ、気球を作るにはいろいろな技術力「開発カード」が必要になる。
開発カードも気球も、獲得方法は同じ。左上に書かれた色と数のダイスを使って、合計で右上に書かれた数字以上の目を出せばいい。
「白のダイス1個と赤のダイス1個で7以上」
とか。
ちなみに、振れるのは一回のみ。王への誓願のように振りなおしは一切ない。
で、開発カードには、ダイスが増えたりダイスの目を増やしたり、ダイスを変換したりといった能力が書いてある。
あと他の要素には「3枚使うと1ターン増えるボーナスチット」とかもあったりする。
別のゲームで見たことある感じのシステムが、いくつか盛りこまれているのがわかる。
いろいろな別のゲームのノウハウを使って、欠点を補ったのだ。王への請願は少し挑戦しすぎのゲームだったから、周辺を実績のある手法で固めてまとめたわけだ。
王への請願にあった、チューンされていない魅力のようなものはもう、まったくない。見事にまとめられている。
じっさい、かなりおもしろいゲームと思う。
……ただ、なんとなくどこか、正しすぎる大人のやりかたでまとめられちゃったかなーとか、思ってしまわないでもないけど。
原題に「Giganten」とあるけど、石油掘るゲームとはたぶん関係ないです。あれの続編だと思って買うのをやめた人がいるなら、それはもったいないです。
2008.07.02 19:50 さかい :
これはおもしろそうですね。
機会があればぜひプレイしたいです。
2008.07.02 23:29 てらしま :
おもしろいですよ。サイコロゲームはわりとウケがいいし、やれそうな機会には持ち歩くようにしようと思ってます。
2008.07.14 12:57 なかた :
昨日持ってきていただいたのでプレイ。感触は確かに王への請願とはまるで違いますね。いわば「ただ面白いだけの手順」になってしまう王への請願と違って、リスクとリターンを考えながら行動を選択していくところの動きはゲーム的。
ただ、王への請願にあった中途過程でのレース感はごっそりなくなっていて、そのへんは残念というか。いや、終盤とか天空の巨人の方がロジカルな競争が発生してゲーマー向きではあるんだけど、でも王への請願の「楽しさ」の魅力には届いてないというか。
でもダイスの種類の概念は魅力的ですよね。ここだけでも王への請願へフィードバックさせたゲームとか出ないかしら。
2008.07.14 23:31 てらしま :
途中の開発競争は調整されてておもしろいけど、勝利点獲得の方法とか終了条件とかが、もっとでたらめでもよかったような気はしました。ダイスゲームらしく。
「最終決戦、ヒンデンブルグ号の開発!」とか? やればよかったのに。
けっこう傑作かもしれない。おもしろい。似た雰囲気のものを挙げれば勝利への道だが、ルール自体はさらにシンプルに洗練されている。
とりあえず、何十個か入っている円形の木製チットを一列に並べる。5色あるんだけど、これがでたらめな順序で並べられる。
同じ5色のコマが、この列の上を進んでいく。コマは必ず、自分と同じ色のチットの上に乗る。コマを一歩進めると、次のその色のチットの上まで進むんである。
プレイヤーは毎ターン、5個のコマのどれかをひとつ、一回進める。
そうすると、移動先の前後のチットのうち片方をとれる。チットを集めるのが目的だ。
でも、このチットが何点になるのかはまだ確定していない。
得点が決まるのは、コマがゴールしたとき。一番最初にゴールしたコマの色は4点になる。2番が3点、3番が2点、4番が1点、最下位は0点だ。
と、そういうゲームである。簡単だ。
システムとして緻密に作りこまれているというタイプのゲームではない。たぶん、だれかがふと、天才的なひらめきで作ったゲームだ。
システム上「これをやったらあれができない……」みたいなジレンマを用意してあるわけではない。そういう「強い」システムを持つゲームじゃない。
でも、悩ましくないわけじゃない。システムがジレンマを用意しなくても、勝手にいろいろな状況が出てくるんである。
なにしろ盤面はランダムに並べられているのだ。選択の余地もない局面もあるし、他人の次の手を読んだりいろいろしなければならない局面もある。
エレガントなゲームだ。
初期配置には激しい乱数があるが、その後は完全に公開情報のみ。だから、ゴールまでの戦略を立ててプレイできる。そのあたりが楽しい。
もちろん、他人の意図があるから簡単にはいかない。協調したり、多少は邪魔したりというあたりもある。そのあたりのバランスも、なんだか見事だ。
これほどシンプルなシステムが、これほどうまくできているというのは、これはもう人の手が作ったものじゃないと思う。
もちろんゲームデザイナーはいつもこういうのを捜しているんだろうし、すっと考えているから見つけられたのだろうけど。もともとどこかにあったんじゃないかと思えてしまう。
見つけたもの勝ちである。こういうゲームにはもう、見事といってしまおう。
複数の意味を持ってて、検索のケースによってどのテーブルにJOINするか変わるカラムってあるじゃん。……いやないけど。ありえないけど。無理だけど、あるじゃん。
たとえば、区分カラムの値によってJOIN先が変わるとか。
「処理対象」なんてカラムがあって、「処理区分」カラムによってこっちのテーブルにJOINしたりあっちのテーブルにJOINしたり。みたいな。
いやほんと無理なんだけど、そういうテーブルがたくさんあるんだからしかたない。
しかたないから、ON句に関数書いたり条件分岐書いたり、「OR」って書いてあったり、ふと空を見あげたくなったりする。
「朝になっても深夜バッチが終わってません!」とかやってたりする。
思ったんだけど。よくいう「テーブルの正規化」手順には、このあたりのことが書いてないんだよな。
(ちゃんと勉強してないプログラマなので、書いてあるならごめんなさい)
やっぱりJOIN禁止か……(ぉ