最近なんというか、ボードゲーム界隈の話題が早すぎてここに書ききれないみたいな感じがあったりする。
たぶんtwitter見てるせいだと思うけど、新しいゲームは遊ばれてすぐに消費され、トップのゲームだけが話題になり続ける。それはたとえば、ドミニオンやアグリコラなのだが。
たぶん本当は昔からそうで、ただ入ってくる情報の量が変わったんだろうなというところなのだが。
このグレンモア。半年前のゲームマーケットで売られていた記憶がある。2010年のゲームだ。
すごい話題というわけではないがそれなりに評価が高く、ちゃんとおもしろい。そういうあたりの位置にいるゲーム。という感じ。
そういうゲームだと、いまのネットの速度ではすぐに流れていってしまう。というような感覚があったりなかったり。いやtwitterばっかり見ててここを更新しないいいわけといえばそうなんですが。
カルカソンヌを思わせる人型のコマと地形タイルを使う。このゲームをやるときは必ずカルカソンヌの名前が出てるんじゃないかと思う。でも特に関係ない。
まん中のボードに、土地タイルとプレイヤーのコマが円形の列を作っている。
これが、このゲームを駆動するエンジンだ。
列で一番後ろにいるコマの持ち主が、手番プレイヤーになる。列の前のほうにタイルが並んでいるから、好きなタイルの上にコマを移動する。すると、そのタイルが手に入る。
他のプレイヤーを追い越さなければ、連続して手番が廻ってくることもある。
とてもよくできた仕組みだ。
ダッチオークションに近いといえるだろうが、その中に、手番回数と手番順を無理なく組みこんでしまっている。複雑な手順が必要なく、適度なインタラクションを実現している。これは評価されていい。
エジツィアに似ているといえるだろう。ただあれよりもさらに集約し、コマは1個だけになっているのである。
獲得したタイルは、自分の前に並べる。ここはたしかにカルカソンヌのように、地形に矛盾がないように並べなければならない。この箱庭は、他のプレイヤーが干渉できない自分だけの世界だ。
タイルを配置すると、配置した周囲のタイルが発動し生産が起こる。周囲に畑があれば麦が生産されるし、牧場があれば羊が生まれる。この仕組みもいい。
ただし、タイルを配置するには、となりに村人がいなければならない。村人は村タイルを配置すると1人現れる。なにしろ地図はどんどん拡がっていくから、すぐに1人では足りなくなる。
そうしたいろいろな要素をマネジメントしながら、タイルを並べていく。そういうゲームだ。
とにかく、インタラクションはまん中のボードにしかない。このボードに現れるタイルの順序が運。
ゲームのエレメントがインタラクションと運だというのであれば。このゲームのすべてはこのボードに集約されていることになる。
ここでゲームとしての選択を実行したら、あとはタイルの配置だけだ。
twitterでもつぶやいているのだけど。この「運とインタラクションを集約した装置」の総称がほしいなと思っている。
昔なら、複数の場所に分散していただろう。それが、この装置をつかえば1箇所にすべて収まっている。
「ゲーム」の部分をプレイするためのインタフェースが、ここにすべて収まっているのである。
それはたとえば「A、B、Cいずれかのアクションを実行します」とルールブックに書いてあるようなゲームとは違う。1個の装置の上に、ゲームの選択が見やすく表示されており、また統一されたインタフェースでアクセスすることができる。
最近のゲームは進化したなと、わたしが感じるのは、こういう装置を見つけたときだ。
利点は多くある。ルールを理解しやすい。プレイヤーを集中させやすい。ゲームの流れが途切れない。他いろいろだ。
「ワーカープレイスメント」なども、この名称未定装置のひとつだろう。
最近でわかりやすかったのは『サフラニート』。他にも、特に新しいゲームで意識的にデザインされているのを見る気がする。
グレンモアもそういう、美しくスマートな装置を備えている。
しかし、それはインタフェースの話。ゲームの調整などはまた別の話なのだが。
このグレンモア、わたしはどうも勝ちかたがわからなかった。3回目か4回目のプレイでようやく思いどおりにいったのではないかと思う。
タイルの種類はかなりあり、また付随する資源の種類も多い。得点手段も多岐にわたっている。そのため、なにをすれば効率的なのか、数回やらないとわからないという気がする。
いちおう拡大再生産するゲームのため、序盤の選択ミスは大きな遅れになる。しかしタイルの内容と展開を知ってからでないと、序盤に正しい選択ができない。そのあたりは不親切かな。
とりあえず、わたしの場合のブレイクスルーは「木と石をとれ」だったように思うので参考までに(そうはいってもとれないことはありそうなのだが)。
たぶん、次にやればもっとおもしろいだろうと思う。いいシステムを備えているだけに、少しもったいなくはある。
ただ、いまのようにたくさんのゲームを次々消費していく生活がいけないのかもしれない。持っている少ないゲームを何度も遊ぶスタイルだったら、もっと楽しめているのかも。
よくできているが超話題とはいかず少し地味という、こういうゲームは、たくさんのゲームがある環境では卓が立ちづらい。それで埋もれているゲームもあるのだろうなと思ったりもする。