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オリンポス
 ボードゲーム

2011/10/03 23:47 てらしま

 オリンポスの神々が見守る古代ギリシャ世界。プレイヤーたちは部族のひとつとなり、この地を開拓する。神話時代のお話なので、地中海にはまだアトランティスが浮かんでいたりもする。
 デザイナーは『スモールワールド』のフィリップ・キーヤーツ。たしかにそれっぽいところもありつつ、プレイ感はけっこう違ったりもする。
 これかなり好き。

olympos.jpg

 ギリシャ世界(と海に浮かぶアトランティス)の地図が描かれたボードと「発見タイル」が並んだ発展ボードの2枚がある。地図上で領地争いをしつつ、その領地から産出された資源をつかってさまざまな発見をしていく。
 発見タイルにはもちろん、さまざまな能力や勝利点がある。武力が上がる剣とか、移動力が激しく向上する騎馬や航海術とか。
 おもしろいところだけど。これ意外と、マップよりも発見タイルのほうの比重が大きい。マップ上で領地争いをするのは、発見のための資源を確保するためだったりする。
 ゲームシステムとしては『テーベの東』や『80日間世界一周』で有名な時間システムが採用されている。『グレンモア』なども近いだろう。
 手番はつねに、時間トラック上で一番うしろのプレイヤーがおこなう。時間のかかることをすれば、次の手番が回ってくるまでに時間がかかる。逆に手番に時間をかけなければ、2回連続で手番が回ってくることもある。
 この時間システム、完成度が非常に高く、おもしろいゲームが多い気がする。
 時間のかかることをすれば手番が遅くなるわけだから、これだけでもジレンマがある。また、つねに後ろの人の手番というのは平等感があり、なんか納得できる。

 要素はけっこうたくさんあるのだけど。そのどれもがおもしろい。
 発見タイルなどで「武力」が手に入り、他のプレイヤーや現住民族と戦争したりもする。この戦争のルールがとてもおもしろい。
 とりあえず、戦争は「攻撃側が勝つ」。……なかなかに、常識を覆すルールだ。
 ただし、武力によってかかる時間が変わってくる。武力が上回っていれば、経過時間1で勝てる。相手と同じなら、2。相手よりも小さければ、3だ。
 この解釈は斬新だ。時間トラックのシステムともかみあって、とてもおもしろい効果になってる(知らないけど、ウォーゲームの世界にはすでにあったものだったりするんだろうか)。
 戦争以外だと「稲妻」というのがある。名前は稲妻だけど、絵はゼウスの顔。このへんはどうなんだこれって感じだけど(笑)。時間トラックの途中に何箇所か「オリンポスカード」をめくる場所がある。これは、そこらにいるオリンポスの神々が登場し、なにかイベントが起きるというもの。
 まあいわゆるイベントカードなのだけど。このとき、いい効果は稲妻を一番多く持っているプレイヤーに、悪い効果は稲妻が一番少ないプレイヤーにいく。
 ただ単に乱数を足したわけではなく、ちょっとコントロールできるようになっている。
 あと、発見タイルの初期配置。ボードにコストが書かれており、その上にランダムで並べる。
 登場する効果は毎回同じだけど、そのコストがゲームによって違う。あるゲームでは木材で作れたものが、次のゲームでは穀物で作れる。
 もちろん、武力も稲妻も、発見タイルで増える。ふつうなら「鉄は武力」とか、テーマに沿ったコストになっているだろうし、そのほうがいいところも多いのだけど。このゲームの場合、武力の材料は木材かもしれないし穀物かもしれない。
 テーマ的にそれでいいのか? と思うところはあるものの。これにより、毎回違うゲーム展開になる。

 他にもあるけど。細かいルールがとても多く、チットの種類も多いのだけど、そのひとつひとつに工夫があり、おもしろい。
 プレイした感想では、見た目よりプレイ感は軽く、しかしそのプレイ感よりじっさいにかかる時間は長い。という感じだった。
 とにかく要素が多く選択肢も多いのだけど、思ったよりも指針があり、それに沿ってプレイできる。だから短く感じるけど、やっぱり要素は多いのだ。気がつけばそれなりの時間はかかっている。そんな感じ。
 この人の代表作といえばスモールワールド(とヴィンチ)だけど。なんだろう。なにやら、得体のしれない楽しさを演出してくれる感じが、似ているといえばそんな気もする。
 どうなんだそれと思うところもあるけど、そう思わせるほどゲームを練った結果という気もする。要素多すぎで整理されていないところもあるだろうけど、それがおもしろいならいいじゃんという気もする。
 いろいろあるけど、最近やった重めのゲームの中では一番好きなのだ。


オリンポスを