遊星ゲームズ
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大聖堂
 ボードゲーム

2007.01.29 02:43 てらしま
大聖堂
Die Daulen der Erde
2006年
Kosmos
Stadler
2-4人(4人?)
2時間
thx to play:game

 まあ多少、コンポーネントなどに不満はあるが、ゲーム自体はたしかに傑作だと思う。次の年間ゲーム大賞?などとちまたでは囁かれていたりもするゲーム。
 まあなんというか、デザイナーの乾坤一擲の気迫が伝わってくるゲームだ。

 見てのとおり、とても凝ったつくりのゲームだ。7800円である。
 写真に写すのを忘れたけど(あと撮りかたがヘタクソだけど)、6個のパーツからなる木製の大聖堂があって、これが1ラウンドに一つずつ組み立てられていく。これが完成したら、つまり6ラウンドで終了というわけだ。
 そこまでビジュアルにこだわっておきながら、なぜカードにはドイツ語の文章しか書かれていないのか、というあたりが激しく疑問。せっかくだからこのへんもアイコンにしてくれればよかったじゃないか。

daiseidou.jpg

 いろいろな要素があって紹介が(おそらくインストも)面倒なのだが、はじめてしまえば、見た目よりは理解しやすい。
 サンクトペテルブルグ風の金/得点トレードオフを基本とした街系ロジックと、簡易オークション的な?と、モルゲンランドのような「アクションに人を配置していく」要素と、電力会社の発電所みたいな職人カードとか、みたいないろいろを力いっぱい組み合わせた……、みたいなゲーム。
 ってなにいってるかわかりませんが。
 細かく説明はしないけど、とりあえずラウンドの進行を書いてみる。

  1. 資源カード、職人カードの獲得
     手元の労働者(毎ターン12人に補充される)を支払って資源カードを入手するか、金で新たな職人を雇う。
  2. 建築家の配置
     建築家コマ(一人3つ)を、盤上のエリアのいずれかに配置していく。ここでおいた場所にしたがって、次のフェイズでおこなえるアクションが決まる。
     ちなみに、建築家を置く順序は時計回りでも勝利得点順でもなく、巾着袋からランダムに引いて決める。ただし、早くでた人はお金を払わなければ配置できない。(このへんが簡易オークション的な)
  3. 建築家アクションの実行
     得点が入るとか、実力者とのコネを作るとか、資材を市場で買うとか売るとか。

 で、この第3フェイズのアクションが全部で14(!)ある。全部書いちゃおうかな。

  1. イベントカード
  2. イベント防御
     ここに建築家を置くと悪いイベントを回避できる
  3. 羊毛工場
     第1フェイズで余った労働者はここにくる。人数分の金をもらえる。
  4. 特権カード
     特殊能力カードをもらえる
  5. 勝利ポイント獲得
     ここに建築家を置くと直接勝利得点がもらえる。
  6. 建築資材/木
  7. 建築資材/石
  8. 建築資材/砂
     第1フェイズでとったカードにしたがってそれぞれの資材をゲット
  9. 税金
     税金をとられる。ただしここに建築家を置くと払わなくていい。
  10. 職人の獲得
     職人カードを無料でゲット
  11. 追加労働者
     日雇い(次のラウンドだけつかえる労働者)を2人ゲット
  12. 市場
     資材を売ったり買ったり
  13. 大聖堂
     ここで、手元の職人カードにしたがって資材を得点に変換。
  14. スタートプレイヤー
     ここに建築家を置くと次のラウンドのスタートプレイヤーになる。

 いやー大変です。なんかもう、思いつくかぎりのものをできるだけつめこんだぜーみたいなゲームです。
 ひとつひとつは簡単だけど、やはり多い。
 でも、これが意外と、見た目よりずっとわかりやすくプレイできるんである。
 ラウンドを計画フェイズと実行フェイズに分けたことが効を奏している。このゲームでは、ほとんどあらゆる行動をラウンド前半に予約し後半で実行というプロセスをとる。これがいい。
 そのへんがこのゲーム最大の特徴ということになるだろう。いろいろあるのに整理されていて、1ラウンドやればだいたいわかるようになってるのである。

 上にも書いたけど、このシステムはモルゲンランドによく似ている。「インストはめんどくさいけどはじめてしまえばすぐわかる系」だというのも共通している。
 それはたぶんこういうことだ。

  • デザイナーは「ゲームに多様性を持たせる」ために「ロジック数を増やす」ことを選んだ。
  • しかし、これはゲームを煩雑にする。
  • それを解決する方法として「このラウンドに実行する予定のアクションをあらかじめ宣言しておく」というシステムを作った。
  • 「アクションにあらかじめチットを配置する」ことでそのアクションを「選択」したのだということが明確になり、プレイヤーが自分の行動を把握できるようになった。

「インターフェースと実装の関係」みたいな(←かえってわかりにくい)。

 逆にいえば、ほかのプレイヤーは自分が選択していないアクションを把握する必要がないわけで、初プレイでも一つ一つ段階的に習熟していくことができる。だからこれほどの数のロジックを並立させることができている。
 個人的に、モルゲンランドは非常に好きなゲーム。あのシステムのいいところがこうして陽の目をみたことがうれしい。

 ただ、欠点もある。それは「例外処理」だ。
 なにしろロジックが多く存在することは間違いないわけで、それはけっきょく処理しなければならない。ロジック一つ一つについて「こういうときはどうなんだろう」みたいな話は必ず出てくる。
 いかに把握しやすいといっても、ルールブック中で解読しなければならないページが多いことに変わりはない。このゲームでも、あちこちでルールの誤解が多発しているようだ。

 という感じで、実は欠点もけっこうあったりする。でも見た目どおりの傑作なのはたしか。おもしろいです。
 しかしさて。どうなんでしょう。賞とるかなあ。なーんか、意外と評価低くてゲーマーから「なんで〜」といわれそうな予感もあるなあ。
 個人的には、大聖堂モルゲンランドを比較すればモルゲンランドに軍配を上げる。個人的には、もしも大聖堂が賞をとるのなら、モルゲンランドはそれ以上のゲームだったことになると思っている。
 実際は、モルゲンランドの評価は「ドイツ年間ゲーム大賞非ノミネート」「ドイツゲーム賞9位」というものだったわけだが……。

cut4.jpg

[2007.02.26 11:49]nasika :
はじめまして。
大聖堂については仰るとおりの印象を私も持っていて、読んでいて非常に共感しました。確かに「なんで~」と言ってしまう予感はしますね。
モルゲンランドを遊んでみたくなりました。


[2007.02.28 23:06]てらしま :
 はじめまして。コメントありがとうございます。
 レス遅くなりました。大聖堂いいですよね。
 ただ、モルゲンランドについてはあまり期待しないほうがいいかもしれません。評価が分かれてるゲームのようなので(^^;


大聖堂を