遊星ゲームズ
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賽は投げられた
 ボードゲーム

2009/05/03 02:51 てらしま
賽は投げられた
alea iacta est
2009年
Ravensburger
Jeffrey D.Allers & Bernd Eisenstein
2~5人(4~5人)
60分
thx to play:game
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 カエサルとなり、新たな領土を獲得する。タイトルがタイトルだけに、サイコロがたくさん入っている。
 サイコロをたくさん振って、出た目をボードに配置して、領土を獲得したり貴族を獲得したりする。
 ワーカープレイスメントに近いような、そうでもないような感じがあるが、配置するものがサイコロ。という感じのゲームだ。

 まず、サイコロを8個振る。それを、ボードに配置していく。
 ボードには、建物が5つあって、場所によって配置ルールが違う。
「砦」は領土を獲得する。ここには、ゾロ目のサイコロを置く。いっぽう「元老員」では、ゾロ目ではなく連続した目が必要だ。
「市民広場」ではできるだけ小さな目がほしい。「神殿」で祈るには大きな目のほうがいい。
 また、配置できなかったり判定に負けたりしたサイコロは「公衆便所」にいく。
 配置が終わったら、各建物の結果を判定する。砦ならゾロ目をたくさん振ったプレイヤーから領土を獲得できるし、元老員ならできるだけ多くの連番を作ったプレイヤーが「元老員タイル」を獲得する。

 このあたりの流れはワーカープレイスメントと同じである。ただ違うのは、配置するものがサイコロだということ。
 ケイラス、大聖堂、アグリコラなどは、結果判定に乱数を使わない。ワーカープレイスメントといえば乱数性の低いゲームという感じがある。
 でも、サイコロを使えないわけでもない。ワーカー配置後の判定でサイコロを使う、ストーンエイジのようなゲームもある。
 で、今度は、ワーカー配置前にサイコロを振るゲーム。というわけじゃなかろうかと思う。
 もっとも、ワーカーを配置していない以上、ワーカープレイスメントと呼ぶわけにはいかないだろうけど。プレイしている感覚もだいぶ違うし。
 なにしろタイトルがタイトルだから。ということかどうか、サイコロへの依存を高めて運を強くしようとしたデザインなのかもしれない。
 配置ルールに「誰かが全部のサイコロを配置したらその周で配置終了」というルールがある。つまり、いきなりゾロ目を出されて配置終了! という可能性があるんである。とにかくつねにサイコロの出目しだいで、計画どおりにはいかない。

 以前ストーンエイジをやっていて「なんでこのワーカーはサイコロじゃないんだろう?」という話が出たことがある。
 あのゲームは、配置したワーカーの数だけサイコロを振る。それなら、はじめからサイコロを配置するという方法もあったんではないかと思うのだ。そうしたほうがコンポーネントの種類が減るから、より洗練された印象になっていたんじゃないかとも思う。
 それをやってみた。のかどうかは知らないが。

 サイコロをたくさん振る楽しさと、配置の悩ましさを両立した、良作だと思う。
 この方向性で、「先にサイコロを振るワーカープレイスメント」をより推し進めたゲームの可能性はまだある。と思えた。

 あとこのタイトル。ドイツでは知らないが、日本語ではちょっと使い古されすぎていて、陳腐な言葉になってしまっているなあと思う。そこは損をしてるような気もする。
 とはいえ、ほかに訳しようもないし、このゲームの責任ではない。原題「alea iacta est」はラテン語だが(もちろんメーカーはドイツ)、日本人にはあまりに馴染みがないわけで。
 てきとうに地名や歴史上の人名をつけたよくあるタイトルよりも『賽は投げられた』のほうが、よりよくゲームをあらわしている。カエサルのゲームだということも一発でわかる。いいタイトルだと、本当はいいたいんだけど。

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賽は投げられたを