遊星ゲームズ
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ストーンエイジ
 ボードゲーム

2008.09.03 02:42 てらしま
ストーンエイジ
STONE AGE
2008年
HANS IM GLÜCK
Michael Thummelhofer
2~4人(4人)
2時間
thx to play:game
amazon

大聖堂」系のゲームというとわかりやすいだろう。ただ、あれよりは要素が整理されている。

 とりあえず盤面を見ると、ああこういうゲームかと思う。
「狩場」「森」「石切り場」などのリソース生産エリアや「建物タイル」「文明カード」などの得点系エリアなどが、盤に描かれている。それに、プレイヤーの能力をあらわす「道具タイル」とか「食料チャート」とか、そんなものもある。
 プレイヤーはまず、自分が持っているコマ(人型をしている)を、順番に盤面に配置していく。
 全員が配置し終えたら、配置した場所に応じたアクションをおこなう。「森」なら木材を獲得できるとか、「家」に二人配置して子供を生むとか。畑を耕して毎ラウンドの食糧生産力を強化するとか、資源を支払って建物タイルや文明カードを獲得し、勝利得点を稼ぐとか。
 ドイツのゲームを追ってきてるプレイヤーの人たちは、だいぶ、こういうゲームに慣れている。なんかもう、盤面を見ただけでどういうゲームかわかる感じがある。

 ルールブックのページ数は少なくないが、これが非常に自然に理解できてしまうんである。
 ここまで自然だとなんだか、妙な気分になる。なんでこのゲーム、いままでなかったのか? というか、あったに違いないと思うのに、具体的なタイトルが思いつかない。

 ……なかったのかなあ。
 全部同じルールのゲームをやったことあっても不思議はない、とさえ思えるんだが。

 というわけで、いちいち納得できるルールばかり。しっかりと洗練されているし、完成度も高そうだし、文句のつけようがないという感じである。
 これはもう、ある種のゲームの歴史の中での、ひとつのランドマークといっていいんではなかろうか。
 たとえば、乱暴だが

 という感じに流れてきた進化系統樹があったとして。その集大成といってしまってもいいと思う。
 それまでのさまざまなゲームの要素から、エッセンスだけを抜き出してまとめたのがサンクトペテルブルグ
 大聖堂は、サンクトペテルブルグがまとめあげたフレームワークに「アクションにコマを配置」システムを組みこみ、その上でどれだけのことができるのかという実験場。
 大聖堂で再発見されたおもしろさのエッセンスを、再抽出したのがストーンエイジ。みたいな。
 もちろん、デザイナーがなにを考えているのかなんてわからない。
 けれどまあ、プレイヤーの視点から見て、そういう流れがあったからこのルールが理解しやすいと感じるのだと思う。

 とりあえずわたしが思いつくのがモルゲンランドなんだが、もっと前のゲームにもたくさんあったと思う(いまみたいな方向に洗練されてはいなかったかもしれないが)。人を盤面に配置し、配置された位置に応じたアクションをおこなうというシステムだ。
 このシステムは、やっぱり優れている。とストーンエイジやって思った。
 多くのゲームでは、ゲームが進むにつれプレイヤーの生産力は高まっていく。なぜそういうゲームが多いかというと、楽しいから。
 だがこれは、プレイヤーのもつリソースが指数関数で増えていってしまうことを意味する。
 これはじつは、マルチゲームとしてはよくない。差がつきはじめたら、その差も広がる一方だからだ。マルチゲームでは、終盤までプレイヤー全員に接戦をさせることが求められているので、差が広がりすぎてしまうのは困る。
 単純に考えると、得点がターン数の自乗に比例するなら、1ターン遅れたプレイヤーとトップとの差はターン数の1乗に比例することになる。逆転は難しい。
 拡大再生産は楽しいんだが、デザイナーにとっては、じゃじゃ馬なのだ。
 しかしこのシステムでは、エレガントな方法でアクションに制限をかけている。
 共通の盤面に示されたアクションにコマを配置することで、拡大再生産のインフラ投資を実行できる人数に、制限がかけられている。
 自分がインフラ投資をしているとき、他のプレイヤーはリソース生産や勝利得点の獲得をしている。自分が得点を稼ぎにいけば、他人がインフラ投資をする。両立ができない。
 けっきょく最速の成長はできないし、プレイヤー間の格差はある程度、均されることになる。
 ここには「他人が置きたいアクションに自分が置く」というインタラクションが発生している。
 直接攻撃ではないが効果があり、自分にも恩恵がある、マルチゲームとして適度な感じのインタラクションと思う。
 それに、インタラクションでバランスがとられるというのは、マルチゲームらしくていい。

 でこれ、たとえばサンクトペテルブルグの通過はダブロン金貨だが、ストーンエイジにおける通貨は労働力。というか人数だ。
 人の数はそれほど増えないし、貨幣のように蓄積しない。
 道具を作ったり畑を耕したりすることで、一人あたりの生産力を強化したりといったことはできるわけだが、アクションを実行できる回数は人数ではっきりと制限されている。
 なるほどたしかに石器時代だと思う。テーマにふさわしいシステムというよりも、このシステムにふさわしいテーマだなと思う。

 変なところや独特のシステムはない。システムの完成度を評価すべきゲーム。

cut4.jpg

2008.09.04 00:31 てらしま :
 戦略面を書いてなかったので追記。大傑作だろうと思っているのだけど、戦略が開発されていったあとのことは不安もあるんである。
 この手のゲームはたぶん、序盤から得点をとりにいかなければ勝てないのです。上でも挙げたモルゲンランドとかと一緒。
 拡大再生産は楽しいから、ついそっちを選んでしまうが、勝つために必要なのは得点をとること。とにかく得点アクションの回数を増やさなければ話にならない。特にこのゲーム、序盤でも終盤でもとれる得点はあまり変わらないし。
 となると、ひょっとしたら、インフラ投資の効率とかそんなことを考える必要はなくなってしまうかもしれない。むしろ、得点アクションを多くこなすために最小限の投資に抑えることのほうが重要だろう。
 与えられた選択肢はいくつかあるけど、充分にバランス調整されているだけに「得点以外はどれでもいいや」となりかねない。
 そのへんは不安材料なので、もっと回数やってみる必要があると思ってるところなのです。


2008.09.08 22:34 なかた :
盤上の拡大よりは文明カードの拡大の方が良いチョイスで、あとはサイコロ+ドラフトなあれをどう評価すればいいのだろうとか思ってます。
人数がどんだけ増えても配置は順繰りってあたりが悩ましい。
一度ストーンエイジやりこみの日でも設定しましょうか。俺もやりこみたい。


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