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遊星ゲームズ
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2013/08/25 03:17

『ヘイムスクリングラ』の紹介 1
 ゲーム制作

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 ゲームマーケット2013秋で発売予定の同人ボードゲームヘイムスクリングラ』について紹介します。
 これ、もうだいぶ長いこと作ってます。都合2年とかそれくらい。初期構想からならもっとかな。
 前回ゲームマーケット2013春で出展予定だったのですが、諸事情で間に合わなかったため、さらに半年の時間ができてしまいました。でも結果的には、さらにブラッシュアップすることができて、よかったような気もしてます。この時間でさらにテストプレイヤーたちからの意見を聞き、いくつかの変更を加えました。これらの変更はどれもすばらしいもので、いまとなっては、現在のかたちしか考えられません。

 何回かに分けて紹介しようと思ってるんですが、今回はゲームの簡単な概要と、いくつかのカードを紹介したいと思います。

.概要

 プレイヤーはヴァイキングの長となり、領地を発展させ名誉を獲得します。
 ヴァイキングなので戦争なども重要ですが、それだけではありません。漁場で釣りをして食料を獲得したり、交易場で資源の交換をしたりといった仕事も大切です。
 獲得した資源を使って「遠征」や「祝宴」などを行うことで、名誉(VP、勝利点)を得ます。もちろん、もっとも多くの勝利点を獲得したプレイヤーの勝利です。
 2~4人、プレイ時間は90分程度です。最初は2時間かかるかもしれないし、慣れれば1時間以内になるかもしれません。比較的時間がかかる、戦略性の高いゲームです。

.デッキの準備

 このゲームにはとてもたくさんのカードが登場します。ゲーム開始前に各プレイヤーは、それらのカードを使って自分の「デッキ」を作ります。
 トレーディングカードゲーム的です。といっても、デッキの枚数は16枚(または20枚)で、それほど多くありません。
 デッキはどのように作っても構いません。カードをランダムに配ってもいいでしょうし、いわゆるドラフトをやってもおもしろいです。適当に遊んでください。

 カードは全部で104種類あり、コモンとレアがあります。このへんもトレーディングカードゲーム的です。基本セットにはコモンカード全64種が全部入っていますが、レアカードは40種中20枚しか入っていません。箱によって内容物が違うのです。
 これ、やってみたかった。箱によって違うカードが入っているので、別の人が買った箱で遊ぶと違うゲームになったりします。知らないカードがでてきたり、弱いと思っていたカードが組み合わせで強くなったり。そういうのやりたかったんです。
 ボードゲームとしては珍しい形態かもしれません。そういう商品なのでご理解の上お求めいただければと思います。
 カードだけを追加できるブースターパックも販売予定です。コモンカード16枚、レアカード5枚の21枚パックになります。コンポーネントを自作すればブースターパックだけでも……。
 もちろん、基本セットだけで充分遊べます。

.ゲームシステム

 いわゆるワーカープレイスメントに近いゲームです。
 TCG的と書きましたが、ゲームが始まってしまえばだいたいボードゲームです。

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 ワーカープレイスメント的なゲームなので、ワーカーが実行できるアクションがあります。テーブルの中央に並んでいる「共通プレイスカード」がそれです。
 様々な資源を獲得したり、それを使って勝利点を獲得したり、といった基本的な行動が揃っています。
 これらは主に、カードタイプに「ワーカー」と書かれているカードが実行します。

kachou.png

 最初、プレイヤーの領地には、プレイヤー自身を表す「家長」がいます。家長はワーカーとしてアクションを実行することもできますが、それ以外に、手札からカードをプレイする能力を持っています。カードをプレイすることで、仲間が登場し領地が発展していくのです。

turibito.png

 ワーカーにいろいろな個性があることも、このゲームの特徴です。同じワーカーでも、カードによって少しずつ効果が変わります。
 この「釣り人」は、漁場で釣りをするのが得意みたいですね。

 プレイスカードのアクションはほとんどがワーカー用ですが「遠征」だけは「ソルジャー」でないと実行できません。

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「ソルジャー」は、ワーカーのようにいろいろな仕事はできませんが、その代わり「遠征」を実行できます。遠征は、VP(勝利点)を得るための重要なアクションです。
 遠征では、各対戦相手に対して1回ずつ攻撃します。
 攻撃を受けた対戦相手は、自分のソルジャーを使って防御します。参加したソルジャーたちの戦闘力を合計し、高いほうのプレイヤーがVPを獲得します。

 ワーカーを増やすことはもちろん重要になります。なにしろできる行動が増えるのですから。とても効果的です。
 しかし、ソルジャーを軽視することもできません。戦闘による得点は馬鹿にできません。
 ワーカーで生産力を増やすのか、ソルジャーで勝利点を稼ぐのか。生産と勝利点獲得のバランスを考えなければなりません。

.さまざまなカード

 ワーカーとソルジャーはこのゲームの一部にすぎません。他にもいろいろなカードが登場します。

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「ロバ」は、カードタイプの欄(イラストの下)に家畜と書かれています。ワーカーでもソルジャーでもないのでプレイスを使えませんが、他のワーカーのアクションを「サポート」します。サポートすると資源を1個追加で獲得できる、便利なカードです。

rennkinnjutusi.png

 このカードもワーカーではないのでプレイスを使えません。でも代わりに、自分自身が実行できるアクションを持っています。
 こうした、ワーカーとして働く以外の能力を持ったカードも多く登場します。

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 これは自分の領地に置くことができるプレイスです。共通プレイスカードと同じくワーカーが実行するアクションを提供します。しかもこのアクションは、自分だけが使えるのです。
 ワーカーは便利ですが、増やしすぎると仕事が足りなくなるかもしれません。そんなとき、こうしたカードが有効でしょう。

kinnkai.png

「トレジャー」は使い捨てのカードです。プレイしたらすぐに効果を発揮し、捨て札になります。

gunnryakuka.png

 カードタイプに「象徴」があるカードは、このゲームの花形です。とても高価(左上がプレイのためのコスト)ですが、相応の強力な能力を持っています。たいていのゲームでは、勝利するためには1枚以上の象徴が必要になるでしょう。
 象徴にもさまざまなものがあります。ソルジャーもワーカーもいます。どの象徴を選ぶかによって、戦略は大きく変わるでしょう。

 そんなさまざまなカードを組み合わせ、デッキを作ります。このゲームの最大の特徴はデッキ構築です。
 どうやって資源を集めるか。どの象徴を使って勝利点を稼ぐのか。すべてはデッキにかかっています。

 今回はゲームの簡単な紹介でした。次回はゲームの流れなどをもう少しくわしく紹介しようと思います。


2013/08/24 18:36

テラミスティカ攻略3 種族編2
 ボードゲーム

.ウィッチ

  • 最終形例:砦×1、聖域×1、神殿×0、交易地×(適宜)、街×3、鋤レベル×0、船レベル×1~2

 砦が強そうなのだけど、まあ強いんだけど思ったほどではない。1ラウンド目に建てて頼りきれるほどでもない感じ。
 しょせん開拓地1個、1ワーカー2コイン分でしかない。砦に頼らずにいけるのならそのほうが早いだろう。本質的には、神殿先行のほうが効率がいい。そこは変わらないと思う。
 むしろ、街建設時に5VPの能力が地味に強い。本体はこっちだ。できれば街3個を目指したいところ。
 砦を除けば強いところがあるわけでもない。しかし街で5点追加の能力のおかげで、うまくいったときの最大得点は高め。安定して高得点が取れる種族ではないが強いときは強い、バクチっぽい種族だと思っているんだけどどうだろうな。
 動きはわりと基本どおり。神殿を先行する。途中で砦が建ったら、3個目の街のために離れたところに開拓地を置ける。都合のいい土地が空いてるといいなあ。
 街3個を目指すので、【街サイズ減少】や【1ワーカー1パワー】、【3コイン】などの生産系恩恵タイルは相性がいい。とはいえ勝利点系はやっぱり必要。
 砦のタイミングといい恩恵タイルの選び方といい、なんかいちいち選択肢があってジレンマ。最終的には他プレイヤーの動き次第で得点が大きく変わるんだろうな。

.オウレン

  • 最終形例:砦×1、聖域×1、神殿×0、交易地×(適宜)、街×2、鋤レベル×0、船レベル×1~2

 最弱じゃね? と思ってたけどそうでもない(いま勝てる気しないのはファキア)。
 砦で恩恵タイルをとれるというのは、思ったより強い。基本形の動きをしたとき、恩恵タイルが2枚でなく3枚取れる。
 オウレンの砦は、教団レベルを上げる能力、若干のパワー生産、恩恵タイルの3つを同時に得られる。そう思うととても強いわけで、基本的に砦を先行する種族だ。砦先行する種族は動きがわかりやすくなるから、気楽でいい。
 砦を建てたら、恩恵タイルは生産系か【開拓地2VP】をとる。恩恵タイルを3枚とれるから、生産系か【街サイズ減少】あたりを1枚組み込めるのがオウレンの強み。
 砦の次は、開拓地を増やしながら神殿→聖域。もちろん教団ボーナスも積極的に狙っていく。教団系種族はみんなそうだけど、ワーカーや鋤を教団ボーナスでうまく拾えるかどうかが勝利の鍵になる。逆にいえば、そのへんをうまくとれそうなときに教団系種族を選ぶ。
 恩恵タイルの生産力と教団ボーナスのブーストがうまくはまると、爆発的な発展を見せることもある種族だ。地味な印象のわりに。

.ドワーフ

  • 最終形例:砦×1、聖域×0、神殿×1、交易地×4、街×2、鋤レベル×0、船レベル×0

 種族の前に色の特性について。灰色の最大の強みは、東大陸でハーフリングやダークリングと共存できることだ。地形的にそうなっている。相手は開拓系種族なので、初期配置からずっと隣のマスで動き続けてくれる。そうなれば得をするのはこちらだ。パワーに困らない。
 初期配置はとりあえず東大陸で、茶や黒の隣に配置する。その後は赤や緑を掘りつつ、砦能力で灰の土地に開拓地を建てる。飛び先(東大陸南地方)の隣には、すでにハーフリングかダークリングがいるだろう。裏面のエンジニアもそうなのだけど、地形がいいから計算しやすくて、わりとはっきりと手順を決めて打てる。なので、得点タイルがその手順に合っているときにドワーフを選べばいい。
 まずは神殿だ。恩恵タイルは【開拓地2VP】。砦は生産力にならないので、最初は建てない。当面はパワーアクションなどで地道に地形変換する。パワーは隣接種族からもらう。
 能力を使ったときに入る4点がとても強い。場合によっては街1個でも足りてしまうことがあるくらい。隣接した土地には使えないので、できるだけ穴を掘れるように開拓の順番を考えたい。
 神殿のあとは、ひたすら開拓地を建て続ける。4ラウンド目あたりで、交易地が得点になるラウンドを狙い交易地をまとめて建てる。交易地も強いので、ここで一気にパワーとコインの収入が増える。
 で、その収入を使って5ラウンド目に砦。その後は、砦の能力で穴を掘りまくってエリアをつなげる。
 土地が足りていれば、聖域はなくてもいい。手順的に建てるタイミングがないのと、恩恵タイル1枚でも穴を掘っていれば点が足りてしまうのだ。聖域を建てる場合は、手順をみて交易地得点2種を使い分ける。
 かなり確定した手順がある種族だ。色がいいからか、あるいはたまたまわたしが得意なのかもしれないけど。こういう種族は安定するので強い。

 エリア得点は必要なので狙うのだけど、要所を邪魔されることがあるので注意。
 教団は得意ではないけど、司祭の使い道がないのでボーナス狙いで送っていく。そうしていればそれなりに点になる。教団が不得手な種族はみんなそうだけど、1~2箇所狙いを決めて他を捨てるのがポイント。
 強い種族のひとつだと思う。トップ5に入るのではないか。

.エンジニア

  • 最終形例:砦×1、聖域×1、神殿×2、交易地×(適宜)、街×2、鋤レベル×0、船レベル×0

 変態種族その2。スウォームリングとは逆に、建物のコストが安い。その代わり生産力が低い。
 いろいろ難しいところが多い種族なのだけど、要点をつかむととたんに動きやすくなる。要点というのは、2件目の神殿だ。これ、なぜか司祭ではなく5パワーが出る。
 もうとにかく、2件目の神殿を建てないと話にならない。2ラウンド目には建てたい。
 神殿2個がある限りパワーはどんどん沸いてくる。それをつかって、パワーアクションで土地の変換をする。スウォームリングとは逆の事情で、資源1個あたりの価値が高い。だから鋤レベルを上げることができない。パワーアクションでしか掘れないと思ったほうがいい。
 神殿2件のあとはというと、終盤にパワーを捨てて聖域を建てるか、神殿3件目を建てるか。他の種族よりも恩恵タイルを多くとりやすい。なにしろ1資源あたりの価値が高いから、生産系の恩恵タイルの威力が高い。上に書いた最終形例では恩恵タイル4枚をとっている。
 砦は、基本的には5ラウンド目に建てる。4ラウンド目ならもっといい。橋で勝手に勝利点が入ってくる能力は非常に強くて、基本的には街3個目よりもずっと強い。5ラウンドまでに2個目の街を完成させておき、橋で接続してしまうのが典型的な動きになる。
 そんな感じで考えていくと、手順がだいぶ決まってくる。それを実現するように動けばいいわけで、慣れると得点が安定しやりやすい種族になる。

 展開によるけど、教団も意外といける。司祭が余るから、教団に送れる。恩恵タイルでも進んでるし。ただ教団系種族が他にいる場合は追いつけなかったりすると思う。展開次第。
 あと、砦+橋3本が完成した後の6ラウンド目。建物のコストが安いので、すごい回数動ける。なので6ラウンドで加点できそうなゲームのほうが、エンジニアに向いている。交易地3VPのときとか特によさそう。
 安定している上爆発することもある、かなりの強種族のひとつだ。


テラミスティカ攻略5 種族の選び方
2024/01/24 15:26 ボードゲーム
テラミスティカ攻略1 基本編
2023/11/10 17:07 ゲーム・論考
テラミスティカ攻略4 種族編3
2013/09/02 01:09 ボードゲーム
テラミスティカ攻略3 種族編2
2013/09/02 01:08 ボードゲーム
テラミスティカ攻略2 種族編1
2013/09/02 01:08 ゲーム・論考

2013/08/10 01:32

コミケ84 テーブルゲームデザインの本3号
 日記  ゲーム制作

 コミケ出ます。3日目です。

  • 3日目 東X60a 遊星からのフリーキック

 なんかもう、明日からですね。とても暑くなりそうなので、みなさん気をつけてください。
 さて今回は、新刊『テーブルゲームデザインの本 3号』を出します。
 主に同人のボードゲームデザイナーがボードゲームデザインのことを話すこの本、需要があるのかないのかわからないながらも、4冊目になりました。

no3.jpg

 今回のテーマは「いま、日本に必要なゲーム」です。
 日本のボードゲームはいまけっこうな流行ですが、この流行はいつまで続くのか? この勢いを維持するにはどうしたらいいのか? などという問題意識が、あるようなないような。
 世界で認められる国産ゲームもいくつか出てきて、そろそろ日本のボードゲームってなんなんだというのがおぼろげに見えてきたりもしていると思うわけです。それはなんなんだ、とか。
 そういう話があるかもしれません。
 なんか大仰なテーマですが、いつもどおりいろんな人がグダグダ語っています。すごくおもしろい話が集まってます。ぜひ見にきてください。

 既刊は、前の2号だけ増刷しました。

 お品書き

 お待ちしております。


2013/08/03 15:59

テラミスティカ攻略2 種族編1
 ゲーム・論考

.ハーフリング

  • 最終形例:砦×0、聖域×0、神殿×2、交易地×(適宜)、街×2、鋤レベル×2、船レベル×0

 初心者向けなどともいわれるけど、じつはけっこう、前回書いた基本手順とは違うことをやる種族。まあ、そもそも基本手順が直感的じゃないんだよなというところは大いにある。
 具体的には、鋤レベルだ。ふつう、計画なく鋤レベルを上げるとほとんどの場合間違いになる。そのために手が遅れ、最終的な得点がだいぶ下がってしまうことが多いのだ。しかし、このハーフリング。鋤レベルアップのための資源が恐ろしく安い。これならさすがに、上げて損をすることはない。
 そんなわけで、じつは少数派の鋤レベルを上げる種族だ。しかも、掘れば1点ついてくるし。
 つまり、初心者向けといわれるのは、罠ルートが1個減っているから。初心者でも勝てるという意味ではなかったりする。じっさいのところ、トップ争いまではいくが勝ちきれないという印象が、最初のうちはある。

 まず書いておきたいのは初期配置。東大陸がいい。もちろん相手の動きにもよるが、初期開拓地2個は両方東大陸でいい。
 ゲームが始まったら、とりあえず神殿を建てるのかなあ。鋤レベルを上げるためにも司祭が必要だし。恩恵タイルは【開拓地2点】が基本。この恩恵タイル、ハーフリングにとってはとても大きい得点元なので、ぜひとも早めに欲しい。
 砦は基本的には不要。だって労働者4人いたら4回掘れるし。
 なにしろ掘れるから土地には困らない。だから、聖域の重要度が低めだ。恩恵タイルのためなら神殿のほうが安いから、2件目を建てたりする。
 東大陸に街を2個作ったら、それを繋げる。このときも、地面を掘って繋げられるなら船が必要ない。そのあたりはもちろん、相手の動きで変わるけど。
 もうとにかく、鋤レベルが安いとあらゆることが変わってくるのだ。

 あ、あと、4ラウンド目の得点タイルが鋤だったときはとんでもないことになる。ハーフリング以外のプレイヤーは全力で邪魔したほうがいい。

.カルティスト

  • 最終形例:砦×1、聖域×1、神殿×0、交易地×(適宜)、街×2、鋤レベル×0、船レベル×1~2

 こちらはすごく基本的に動ける種族。ただ基本だけではもちろん足りないわけで、他の種族よりも優れている点を活かさないといけない。カルティストの優位はもちろん、布教による教団レベルだ。
 ラウンドタイルの教団ボーナスは積極的に狙っていく。というか、そこを取れないと意味がない。問題は、布教を拒否されたとき。実際には全部拒否できるわけでもない。パワーをもらうことは相手にとっても重要だし、拒否をすることはそのプレイヤーにとって不利なのだ。とはいえ、あと1レベルで教団ボーナスを取れるというタイミングで拒否というのは充分にありえる。
 布教に失敗したら1パワーもらえるという調整は入ったのだけど。もちろん強くなっただろうけど、そんなに変わらない気はする。
 さて、動き自体は基本どおりなのであまり書くこともない。布教による教団ボーナスと得点とパワーで少しずつ優位をとっていく。爆発的な高得点はあまり出ないけど、わりと安定した種族だと思う。
 余談だけど。テラミスティカでは、教団の得点は上限が決まっているが盤面を開拓して得られる得点には上限がない。トップフォームでは開拓系種族のほうが点が高い傾向がある。と思う。

.ダークリング

  • 最終形例:砦×1、聖域×1、神殿×0、交易地×(適宜)、街×2、船レベル×1~2

 これ、テラミスティカ最強の種族のひとつじゃないかと思っている。だいたいどんなゲームにも対応できて、隙がない。また、ハーフリング以上に罠がなく、そういう意味では初心者おすすめでもある。
 まず、初期資源に司祭がある。ダークリングは司祭で開拓できるから、初期に1件の開拓地が約束されているということ。この利点は大きい。
 もっと大きいのは、聖域の特別な性能。司祭が2個出る。ふつう聖域は勝利点獲得用の行動なのだけど、ダークリングは違う。聖域で生産力も上がってしまう。
 さらに交易地も強め。なんだろうこれ。隙がない。終盤以外で砦を建てる利点がないことくらいか。

 名前のとおりハーフリングのライバル。なんというか、東大陸の地形を見ればわかるけどひどい。
 ハーフリングと同じく、東大陸で活きる種族だ。初期配置もあるていど似たような事情で、東大陸に2個置いてしまってもいい。そしてそこにハーフリングがいると、ガチガチやりあうことになる。……とはいえ、地形上はダークリングのほうが少し有利な気がする。
 とにかく聖域が強いので、序盤はまず神殿から聖域を目指す。恩恵タイルは、基本どおりなら【開拓地2点】と【交易地3点】だ。
 そして、開拓して開拓地を建てる。得点タイルに合わせて交易地を建てる。ダークリングの強さは、柔軟さだ。弱いところがないから、手順を多少入れ替えてもどうにかなる。得点タイルに合わせ手なりで進めていけば勝ててしまうことも多い。唯一注意点は、開拓地を減らしすぎないことか。
 あまりに多くのゲームに対応できてしまうので、種族選択では常に候補に挙がってしまう。他の種族の練習にならないから、個人的には禁じ手にしている(笑)。

.アルケミスト

  • 最終形例:砦×1、聖域×1、神殿×0、交易地×(適宜)、街×2、鋤レベル×2、船レベル×1~2

 弱くはない。というか、強いほうの種族だろう。動きもわかりやすいし。しかし、ダークリングの裏というのが最大の問題点(笑)。
 とりあえず1ラウンド目に砦。この砦、すごく強い。これを建てるだけで収入が安定するから、その後の恩恵タイルは安心して勝利点系を取っていける。
 砦を建てたときに出る12パワーの使い道はけっこうポイントだ。ここで一時的に大パワーを得られるものの、その後はわりとパワー不足に苦しみがちだったりする。
 鋤レベルを上げやすい種族でもある。開拓するたびにパワーが出る能力があるから。とはいえ、やはり鋤レベルアップは高価で、やって充分な利益があるかどうかは微妙なラインだったりもする。上げずにいけるならそれに越したことはない気もする。ただしそうすると、パワーが不足気味になりがちではある。
 得点能力はそれほどないので、しっかり得点をとっていくプレイングが求められる。生産力が安定しているから自由に動ける。

.マーメイド

  • 最終形例:砦×1、聖域×1、神殿×0、交易地×(適宜)、街×3、鋤レベル×0、船レベル×1~2

 じつは苦手種族。しかし見ていると、ときどきとんでもない高得点を取ってくる種族の様子。じっさいそんな感じになって負けたゲームの記憶もある。
 なのでよくわかってないのだけど、まあ基本は神殿先行でいくんだろうなあ。恩恵タイルは、【開拓地2点】が必須だろう。気持ちよく街3個を作っても点がぜんぜん伸びてない、というケースがよくある。恩恵タイルで勝利点を取ることは必須だろう。
 もう1枚は……街3個を目指すのなら、街の必要サイズが減少する奴とか、生産系とかなのかなあ。【交易地3点】を取って街3個が達成できちゃったらそれが一番だろうけど。
 船レベルが最初からあるというのはけっこう強い利点だ。開拓地を建てやすく労働者の供給体制が作りやすい。
 街を作る能力はとても強力。ただ、これをマーメイドの特徴と考えるなら、街3個を作らないと活かせない(他の地面を這っている種族でも街2個は作れる)。難易度高い。
 とはいえ街3個が無理でも、接続がとりやすい優位はある。あと、船レベルを使って他の種族の邪魔をしやすい。
 苦手種族なのであいまいだったりする。得意な人はいると思うので話を聞きたい(笑)。

.スウォームリング

 変態種族その1。他の種族とはまったく違う考え方を求められる。研究が楽しい。
 見ればわかることではあるけど、特性はとにかく、建物のコストが高い。開拓地に労働者2人、交易地と神殿には3人も必要だ。そのぶん基本の労働者生産力が大きいのだけど。
 これはなにを意味するかというと。資源1個あたりの価値が他の種族よりも安いということだ。
 鋤レベルアップのコストは変わらない。ということは相対的に安い。また、地形変換のために支払う労働者コマの価値も低い。じつは、ハーフリングと同じような事情で開拓系種族だったりする。掘れる回数だけでいえば、スウォームリングのほうが多いだろう。そういえば種族名に「リング」ってついてるし。
 序盤の動きは、なによりもまず砦。交易地を建てる能力はものすごく強い。それで交易地を建てて、神殿にする。そして聖域。聖域もすごく強くて、司祭が2個出る(ただし、鼻血吹くほど高い)。
 そして、聖域から出た司祭で鋤レベルアップ。
 ……問題はですね。ここまで開拓地をろくに建ててない。開拓地が高いから、建ててもなかなか生産が増えなくて、開拓地を後回しにしがち。全部準備がととのってからさあ開拓!と思ったらもう土地がない、なんてことにならないようにしたい。開拓地建てないと砦能力の使い道がなくてもったいないし。
 恩恵タイルは、【労働者1パワー1】がけっこういい。上にも書いたように開拓地を後回しにしがちなのだけど、もちろんそれでは労働者が足りないわけで。
 あとは、もちろん交易地が勝利点になる系の恩恵も相性がいい。
 初期の教団レベルが全部1あるのも大きくて。司祭を送って教団ボーナスもけっこう狙っていける。
 そう考えていくと、かなりなんでもできる種族なのだけど。開拓地の高さのせいで、動きが重い。体制が整ってしまえば強いけど、間に合うかどうか。
 研究しがいがあるから、こればっかりやってる人もいると思う。


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2013/08/03 13:29

地獄の釜
 ボードゲーム

2013/08/03 13:29 てらしま
地獄の釜
Auf Teufel Komm Raus
2013年
Zoch
Tanja & Sara Engel
2~6人
40分
amazon
amazon

amazon とにかくまずはコンポーネント。大きくずっしりとしたポーカーチップがついてくる。だいたいこれと同じようなやつ。すごい。このへんはツォッホらしい感じ。
 十数ミリの厚紙のチットとか、ボドゲだと多いしたしかにそれでもゲームできるんだけど、やっぱり、用具がしっかりしてるとやる気が違う。抵抗できない魅力というのがある。
 そして、このてきとうなボード。この絵はなに? 外周のこれは勝利点トラックなの?
 なんかもう、見た目がとりあえずすごいのだ。

jigokunokama.jpg

 ゲームのほうはというと。一言では説明できないのだけど、まずはバーストゲーだ。
 窯から石炭を拾うのだけど、窯だから熱い。あんまりやると火傷してしまう。写真の黒いチップが石炭。表面には、数字か悪魔の絵がある。悪魔をめくったらその時点で失敗。バーストゲーだ。悪魔をめくらずにどれだけ価値のある石炭を拾えるか。
 そんなバーストゲーを核に、オークションというかビッドも取り入れられている。
 ラウンドが始まったらまず、ポーカーチップを手に握る。この握った額というのはなにかというと、石炭の数字の合計がどこまでいくかの予想だ。
 おもしろいのは、ビッドを達成するのは自分でなくてもいいところ。誰か1人が達成すればビッドは成功になる。
 ビッドが終わったら、石炭を引くフェイズ。スタートプレイヤーから順番に、石炭を引いていく。何枚引いてもいいけど、悪魔をめくったらその時点でバースト。バーストしたら、単独最下位のプレイヤーに50点支払わないといけない。
 全員が引き終えたら、得点計算。ビッドに成功したプレイヤーは、ビッドした額と同額を受け取る。一番高いビッドをしたプレイヤーが成功していたら、さらに同じ額を受け取る。
 あと、めくった石炭の価値の合計が一番高かったプレイヤーにはボーナス50点。めくった石炭の枚数が一番多かったプレイヤーにもボーナス50点。
 で、次のラウンドだ。
 めくった石炭は戻さずに次のラウンドにいくのだけど、石炭を真ん中に集めて釜の絵の口に収まるまで減っていたら、石炭を全部戻す。このへんのてきとうさもちょっと楽しい。

 バーストとビッドを組み合わせて、さらに調整のため細かいルールを付け足した感じ。その結果、妙な味のあるゲームになっている。
 で、おもしろいのかといったら、これがすごくおもしろい。独特で説明しづらいけど、おもしろいのだ。
 なんだろうなあ。バーストの盛り上がりをちゃんと活かせてるのと、ビッドが楽しいのと。あとすごく分散の大きい乱数を使ってるからいつでも逆転の可能性があるとか。最下位を救済するルールがきっちり働いていて大差がつかないようになってるとか。
 こういう細かいルールで調整されたゲームって、ぼやけた印象になることが多いと思う。調整のためとはいえ、ゲームの中心的なメカニクスと関係ないところから得点をもらってしまうと、軸がぶれなにをしているのかわからなくなってしまう。印象が薄れてしまう。あるいは、下位を救済するルールが機能しすぎて、なにをやっても差がないゲームになってしまったり。そういうゲームけっこうある。
 このゲーム、そういうぼやけたゲームになってもおかしくなかったと思う。じっさいなっている面もあるのだけど。でも、おもしろいし盛り上がるのだからこれでいいのだ。
 ぎりぎりの綱渡りですごくいいポイントを探り当てたという感じがする。それはコンポーネントの好印象も含めてのことかもしれない。
 たぶん間違いなく盛り上がれるゲームだ。プリミティブなおもしろさというよりもきれいに調整された安定感があり、外れることが少ないと思う。オープンなゲーム会などにも安心して持っていける種類のゲームだ。

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