ロール・スルー・ジ・エイジズに、公式の追加ルールが出ています。
その名も「The Late Bronze Age」。
後期青銅器時代、ですね。
大方の予想どおり、プレイヤーシートが違うんである。
このゲーム、ペグボードだけがやたらと凝ってるんだけど、他にチットのたぐいはないというゲームで。
そのかわり、各自に白黒のペラ紙シートが渡されて。プレイヤーが鉛筆を用意してくれという、なんともアンバランスな作りになっていた。
理由は明白。拡張ルールのためであろう。ペグボードは共通で使い回し、シートのほうを差し替えることでゲームを拡張するんである。
公式サイトから、その拡張プレイヤーシートのPDFをダウンロードできるわけです。
New Games Orderに、日本語版もあります。英語でやってたけど、気づいたら翻訳があった(笑)。
そもそも、最初からシートに「青銅の時代」って書いてあったし。シートを差し替えるんだろうなとは思っていたものの。
考えてみれば、このシートだけを販売というのもちょっと単価が安すぎる気がする。はじめから、PDFダウンロードでアップデートをかけるつもりだったんだろうか。
コンピュータソフトウェアでは、定期アップデートによるサポートがあたりまえになっているわけで。そういうイメージだと思えばいいんだろうか。今後どうなるのか少し気になる。
次は「鉄器時代」かなあ。石器時代にまさかの逆行!とかもありえるのかなあ。
今回の拡張ルール。なんと、ゲーム終了条件が変わっている。
もともと「いずれかのプレイヤーが進歩を5つ獲得したら、そのラウンドでゲーム終了」だったものが、「進歩を7つ」に変更されたのである。
シートの交換だけでそんなところまで変えてしまう、この柔軟性の高さ(笑)。
他にも、船の建設というルールが追加されたり、他人との交渉が加わったりしている。進歩のいくつかは、コストや効果が調整されていたりもする。
この変更から、なんとなく感じることがある。
そもそも、進歩5つで終了というルールはなにかがおかしかった。と思う。
誰がやっても、感想は「短い」だった。進歩をいくつか獲得し、生産力も上がってさあこれから! というタイミングで、それを見計らったように終わってしまうんである。
もし、それがデザイナーの意図どおりでないとしたら。
などと、想像してしまう。
そもそも、拡張ルールとして発表された「後期青銅器時代」のほうが本番なんじゃないか。
……そう思えてしまうほど、基本ルールの弱点をいちいち補強した内容になっているわけなのである。読んでていちいち納得できた。
まあじっさい、基本ルールはゲーム時間を30分以内に収めるためにいろんなものを圧縮したのかもなーとは思うわけで。
そんなことを思うので、できれば「後期青銅器時代」のほうをやりたいと思うわけなのだけど。
意外におもしろくてびっくりした。タイトルといい、箱といい、そこはかとなく期待できない感じがしていたのだけど。
いわゆるワーカープレイスメントである。
これは大事な情報だ。このタイトルと箱ではなかなか想像できない。だからもう一度書くけど、ワーカープレイスメントなんである。
てらしまはワーカープレイスメントが好きなんですが。
ワーカーという言葉はつかわない。配置するのはお金だ。盤面のワーカー配置ボックスにお金を配置し、配置したら即効果を実行する。
このあたり、若干混乱する。ついお金のことを「ワーカー」とか「労働者」とか呼んでしまったりする。まあそれで不都合もないけど。
わりとまともにワーカープレイスメントなんだけど。配置のしかたがおもしろい。
盤面には、四角のマス目が並んでいる。これらがワーカー配置ボックス。ここに、お金を配置していく。
ちなみに、配置したら即座に効果発動のアグリコラ式。ふつうワーカープレイスメントは、プレイヤーごとに色を分ける。でも効果が即時発効なら、ワーカーを色分けする必要がない。だからこのゲームでは、お金チットが全部同じ色だ。
まあどうでもいいことだけど、なんか新発見だった。
とそれは余談だが。そのお金の配置方法。
基本的に、ひとつのボックスにはお金をひとつ配置すると効果が得られる。ボックスは一度ずつしか使えない。
ただし「縦か横のとなりのボックスにすでに配置されている」場合は、となりに置かれているお金の数だけ高くなる。
このルールが大変おもしろい。
ワーカープレイスメントは非常に洗練されたシステムで、おもしろいゲームが多いんだけど。その代わり、システムをいじるのが難しい。
人数制限のあるボックスにワーカーを配置するとすることで、インタラクションもルールのわかりやすさもすべて解決してしまうわけなのだけど。そのかわり、あまりに完成されたシステムだから独自性を発揮しづらい。
しかしもちろん、ゲームデザイナーとしては、オリジナリティのないゲームを作るわけにもいかないだろう。
「ワーカープレイスメントを必死に考えて、ルールを整理していったらストーンエイジかケイラスになっちまったー!」
というデザイナーたちの苦悩が想像できる気がしてるわけだけど。
いろいろな要素を追加したり、ワーカー配置ルールそのものをいじったり。といったことを試みたゲームは、じっさいいくつか見た。でもなかなか成功したものは少ない気もする。
ワーカープレイスメントならなんでもおもしろい!というわけでもなく、むしろシステム自体が完成されすぎているせいで、そういう難しさがあるのかもしれない。と思う。
そんな中で、ダイヤモンドクラブ。このワーカー配置ルールはとても斬新だし、おもしろいんである。
ここの印象が非常に強い。あまり派手な部分ではないけど。
ワーカーを配置する場所は「市場ストライプ」というものを並べて作る。これが毎ラウンドランダムで変わって、これもおもしろい。
その他の部分は、わりとふつうのワーカープレイスメントなんだけど。「○○能力を強化」するボックスがあったり、ワーカー(お金)を増やすボックスがあったり。なにかを生産するボックスがあったり。
地味ながら斬新なワーカー配置ルールで風味づけされた、じつはけっこう素直なワーカープレイスメント。なんである。
じつのところ、60分強以内で終わる軽めのワーカープレイスメントがほしいというのは常々思っていた。ストーンエイジ以外で。
それが、意外なところにあったー。という。
メビウス便の積ゲームの中に、いままで埋もれてたんだけど(笑)。こういうことがあると、新しいゲームをばりばりやりたくなってくる。
てらしま -2009/08/17 21:45
若干修正。
少しはわかってきたか? そうでもないか? という感じですが。
プレイ回数は50回くらいかなあ。基本的に基本セットと混ぜて完全ランダムでやってます。
個人的に思うんだけど、ドラフトでやるのはなんか違う気がする。そもそも、自分が有利になるわけでもないのにカードを選ぶという過程は不要というか。というか、登場するセットが固定されてしまうのがヤダという気がする。
なのでずっと完全ランダム派です。
問題は、次のエキスパンションが出たら77種類の中から選ぶのか? というところだけど。
ムダにダブルスリーブなのでかさばってて。エキスパンションあたりストレージ1箱ずつ増えていくわけだけど。
というわけで陰謀。よく勝ってる気がする作戦だけ書いてみる。
あと意外と勝たない印象なのが、執事とか中庭とか。
強いんだけど、アクションが減るカードは陰謀の他のカードと噛みあってないというところがある。
ただ中庭ステロイドとか、計測上は速いらしいですよ。
基本的には、お金をちゃんと集めることが必要だ。というあたりはわかってきた。というか再認識した。
ごちゃごちゃといろんなことがおこってわけわからなくなったりもするけど、腐らずに生産力を確保する基本を怠らなければ、いつの間にか勝ったりする。
陰謀はとにかくアクションが減らないから、コンボの誘惑が非常に強い。でももちろん、コンボは手段だ。目的は生産力。
陰謀で追加された勝利手段は公爵だ。
まだわたしが知らないものがあると思うけど、とりあえずはこれで、いまドミニオンにあるおもな勝利手段は4つになった。
ただし、途中に貴族やハーレムを入れるのか金貨でいくのかなど、細かいところはいろいろある。逆にいうと、貴族やハーレムだけでは足りない。
また、破壊工作員で属州を抜いて一発逆転を狙う! みたいな要素も追加されている。
あと、攻撃カードは複数人が使うと劇的に強くなるので。破壊工作員とった人に同調してグダグダにする作戦とかも考えるべきなのかもしれないし、じっさいそういう場も多いけど。でもそれ作戦じゃないよねとも思う。
この4種(+α)のうちどれを選ぶかを決めて、そのために必要なお金を確保するための方策を考える。
ようするにそういうこと。なにも変わっていない。
というのが、いまのところの現状かなあ。です。
気になるのは、公爵以外に追加された勝利手段はないのかというあたり。
なのでいろいろ無茶なことを試すんだけど、なにしろ組みあわせが多くて……。
2chで紹介されてた橋の一発芸とかは候補の一つだけど。ただたぶん、そうとう条件が揃わないとムリだなあとか。
てらしま -2009/08/17 21:05
書庫、祝祭、地下貯蔵庫、村、工房、共謀者、橋というもはやなんでもアリの場で橋コンボをやったところ、大変強かったです。あまりにできすぎな場だったけど。
どれくらい揃えば橋コンボにいけるのかを、練習してつかんでおく必要はあるなあと思った。
クリアした。ちゃんと楽しいゲームでしたよ。
クリア時のプレイ時間は50時間くらいだけど、これでも転職しまくってるし、ストーリーとは関係ない要素であるところのクエストもそれなりにやってる。実際には、寄り道しなければ20時間そこそこだと思う。
魔法使い2人(のちに3人)のパーティーが、偶然効率よかったという可能性wはあるけど、たぶんそうでもない。今回それくらいのレベルまでなら経験値稼ぎ簡単だし。その気なら、ふつうでも週末を使えば終わるくらいのゲームということか。
クリア時のパーティーは、魔法使い×3と賢者。転職しまくってるからクリア時レベルには意味ない。
シナリオを進めてる限りは、とにかくぬるい。というか、徹底してストレスフリーに作ってある。
敵はランダムエンカウントじゃなくてフィールドを歩いてるので、戦わない気なら戦わずに進める。ダンジョンだろうとなんだろうと。さらには「はぐれメタルだけ狙って戦う」とかできてしまう。
転職はノーリスク。全滅すると、全員が全快の状態で教会に戻る(お金は半分になる)。ダンジョンのマップは最初から表示されてる。
などなど。
たぶん、ニンテンドーDSでドラクエを出すためにはこうしなければならなかったんだろうと思う。
DSはあまりじっくりやるためのものではなく、逆に気軽にプレイすることに向いている。だから、短時間のプレイでも成果が出る作りにする必要があったのかなあと思う。
そういう意味じゃ、まったく正しい作りといえるわけで。ちゃんと楽しいし、なにしろストレスフリーだから続けられるし。
事前の評価は大変なことになってたけど。あの客をバカにしたポスターとか見ても、たしかにまあひどそうだったけど。
なので、もし本当にひどいことになってるんだとしたら、どんだけか見てやろうというつもりもあったわけだけど。Amazonの星1個レビューはネガティブキャンペーンでしたねー。
(↑いまみたら、けっこう回復してた)
悪いところもたしかに多い。
世界観のてきとうさ加減は、ドラクエというよりFF、というかもっとてきとうなアトリエシリーズくらいの感じ。雰囲気を盛り上げるべき音楽も、なんかもう聞くに堪えない曲が流れてたりする。そういうところだけ見れば、ドラクエの劣化版コピーにしか見えないのはたしかなんだけど。
でもストーリーはおおむね悪くない。システムはDSなりの規模だけど。転職がノーリスクとか、それどうなのと思うところもあるけど、やっぱりそこはドラクエだ。遊んでみれば、ちゃんとよくできてる。
なによりこれ。シナリオ自体は20~30時間でさくっと終わってしまう代わりに、その後のやりこみ要素がやたらと入ってる。
隠しダンジョンでは、ダンジョンマップも表示されていないんである。もっと不思議なダンジョンみたいなもんか。
なのでむしろ、シナリオのほうがおまけで、モンスターハンターみたいにみんなで遊ぶゲームなんだと思う。
とかなんとか考えつつ、これからが本番ということになるんだが。
まあ、全スキルコンプリートすればいいんだから、そういうゲームとしては終わりが見えてるわけではあるけどなあ。
リビングストンといえばゲームブック作家のイアン・リビングストンだけど、残念ながらそっちじゃなくて。アフリカにいったことで有名な探検家のほうのお話。
なんかボードに川があって。
川に船が浮かんでいる。この船は左から右に1歩ずつ進んでいって、ゲームの進行を表している。
川の上には、なにやらマス目が並んでいる。縦は6マスで、1から6の数字が横に書いてある。6というのは意味深な数字だけど、まあそのとおりサイコロの出目を表していたりする。
横は10マスくらい。これは、船が進んでいくラウンド数を表す。
ラウンドのはじめに、人数×2個のサイコロを振る。
その後各プレイヤーは、順番に、出たサイコロの中から1個を選んでいく。
人数×2個のサイコロがあるので、これは2周くらいする。ただし「前回とった目よりも大きい目」しかとれないというルールがある。2をとったら、次は3以上しかとれない。
サイコロをとったら、その目を使ってターンのアクションをやる。
選べる行動は、下の4つ。
イスファハンを思い出すルールである。
いろいろできるようだがじつはそうでもなくて。宝石はけっきょくお金になるし、お金はテントを張る資金になる。最終的な得点源は、ほぼテントのみだったりする。
テントは、1の目なら1の行、2の目なら2の行という具合に置ける。そして、この出目と同じ得点が入る。6なら6点である。
それに加え、ゲーム終了時にも得点が入る。この得点は、数字が小さい行のほうが高い。各行でテントの数を比べ、もっとも多く置いているプレイヤーに何点、という得点が入る。
6の目の直接得点が強いけど、あえて小さい目を狙ってゲーム終了時得点を目指すこともできる……という、まあ少なくともそういう意図は感じる。
そんなゲームなんだけど、もうひとつ。
各プレイヤーには、謎の貯金箱が渡されるんである。
これもまあ、なんとなく想像できるとおりのもの。大勝負とか他のいくつかのゲームで見たことある、寄付金である。ゲーム中に、この箱の中にお金を投入していって。ゲーム終了時にはじめて箱を開け、もっとも寄付金の少ないプレイヤーの敗北、という奴だ。
このボードがいい。と思う。絵がきれいとかそういうことではなくて、ラウンド数と得点が一目でわかるチャートでもありゲームボードでもある、というのはなんかいいと思った。
ただ、それが必要かというとどうだろう。
他のゲームでは、ここまで親切に整理されていなくても楽しめていた。可能性はあると思うけど、まあぶっちゃけ、6マスで事足りてたよねといえばそうかな。
個人的には、好きなゲームではない。まあやってれば楽しいんだけど。
イスファハン風のダイスとか、テーベの東風の袋を使った発掘とか、寄付金ルールとか、なんとなくちょっと、いろんなゲームからいろんなものを寄せ集めたような、品のなさを感じてしまう。
それらがちゃんと噛みあっているなら文句のいいようもないけど。このゲームに関してはそうでもない。
袋を使った発掘自体は楽しいが、どうせ全部お金になるだけだ。それならサイコロでいいんじゃないか? というか、サイコロならたくさん入っている。サイコロの乱数の上にさらに乱数を重ねたせいで、ゲームの軸がぶれてしまっている。
リソースは最終的に、ほぼすべてがテントに集約される。だがじつは、その前の段階ですでに集約されてしまっているんである。宝石というリソースがあるが、これはけっきょくすべて、固定レートでお金になってしまう。お金の用途はただひとつ、テントを買うのみ。
寄付金というのもあるけど、これはおまけだ。じつは、ゲーム性自体にはあまり影響を与えていない。
つまり、理屈でいえば、リソースが一つ以上余分だった。少なくともお金か宝石は、もういっぽうとほぼ同じものであり、省いてもよかったものだ。
リソース数が少ないということは、得点手段も少ないということになる。テントの置きかたで、直接得点とゲーム終了時得点という2つのルートがある。そこは意図されていると思うし、ルールを読んだときはなるほどとも思ったわけだけど。やってみると、それほど機能していない。
あと、これは単純なデザインミスというべきなんだけど。船の位置によって、テントの値段が変わっていくようになっていて。ゲームが進むにつれ、テントは高くなっていくわけなのだけど。ところが、プレイヤーが手にするお金は増えていかないんである。
そうした問題を解決するために、ゲームデザイナーがつかう魔法の道具が、イベントカードだ。
このゲームも、イベントカードのおかげでゲームになっているたぐいのデザインなのである。
イベントカード自体は悪くない。じっさい、絶妙なイベントカードのデザインで名作になったゲームだってある。でもこれは、デザイナーにとっては罠でもあると思う。
大概のゲームは、イベントカードでバランスを調整すれば遊べるレベルになってしまう。しかし、イベントカードはゲーム調整できるけど、ゲームをおもしろくすることはあまりないという気がする。
というわけで、個人的にはいろいろ不満があるけど。しかしまあ、やっていれば楽しいし、遊べないわけでもない。充分そういうレベルに達しているゲームではある。あと1~2回やってみたいとも思ったり。