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ボードゲーム
 ボードゲーム

 ボードゲームの紹介です。もちろんドイツ製が中心。
 ゲームのデータは公式ではなく、執筆者の主観です。てらしまはけっこう考えるスタイルのようなので、特にプレイ時間は長めになっています。でもメンツによって違うわね。

to.jpgボードゲーム記事一覧

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2009/10/05 02:21

交易王
 ボードゲーム

2009/10/05 02:21
交易王
Handelsfuersten Herren der Meere
2007年
Pegasus Spiele
Reiner Knizia
2~4人
30分
thx to play:game
amazon
交易王
2009/10/06 20:35 ボードゲーム

 地味だけど。とてもシンプルで、いいゲームだ。けっこう気に入っていたりする。
 どのへんが地味かって、まずこのタイトル。ドイツのゲームでは「交易」というのはとてもありふれたテーマだ。ゲームのウリになるようなことではないだろうと思う。しかし『交易王』というタイトルからは、交易するということしかわからない。
 そして、ゲームルールをよく読んでみれば、別に交易してないし(笑)。
 資源を生産して、それを売ってお金にして、また資源を生産して……というのが、一般的なゲームにおける交易のイメージだろうけど、交易王にはそういうプロセスがない。
 商品を船に積むけど、商品はなくならない。商品はリソーストークンではないのである。

 プレイヤーは2隻の船を持ち、貿易商として大航海時代に名乗りを上げたところ。
 場には6枚のカードが出ている。これは、各商品の相場を表す。たとえば青いカードが4枚出ていたら、青い商品は1個4円だということを表している。わかりやすい。
 プレイヤーが持っている船には、必ず1個の商品が載っている。最初は2隻の船を持っているから、各プレイヤーは2個ずつの商品を持っていることになる。
 というか、商品はなくならないので、商品というべきじゃないというような気もする。その商品の貿易ルートを持っている、というようなイメージだろうか。
 手番にできることは、2つ。
 まず「商品を1個積み替える」ことができる。しなくてもいい。
 次に「場にカードを出す」または「カードを2枚引く」をする。
 場にカードを出すときは、手札から1色のカードを何枚でも、場にある6枚のカードの上に置く。そうするともちろん相場が変わる。
 そして、カードを出すと、その色の決算が起こる。出した色の商品を持っているプレイヤー全員が、収入を得る。
 この収入が、お金でもあり勝利得点でもある。
 とてもシンプルだ。

 さて、それに加えて、スペシャルカードの購入もできる。じつのところ、これが重要だ。
 スペシャルカードは4種類。うちひとつは「船」だ。つまり、2隻しかなかった船が1隻増える。そんなこともできる。
 それ以外に「交易所」「港湾労働者」「売買契約書」というスペシャルカードがあり、それぞれに特殊効果を持っている。
「交易所」は、毎ターンカードを1枚追加で引ける。
「港湾労働者」は、追加で1個、商品の積み替えができる。
「売買契約書」は、商品の決算でお金を受けとるたびに追加で2円もらえる。
 船も含め、それぞれに強力な効果だ。
 しかし、スペシャルカードを買うためには勝利点であるお金を支払わなければならない。それも、けっこう高額である。
 どのスペシャルカードを使うのか、何枚使うのか、といったあたりが、そのまま戦略の選択になる。それぞれに、まったく違う戦略を考えることができる。
「スペシャルカードをつかわない!」という選択も可能だ。
 そのへんが、なんともおもしろい。

 商品は、ゲーム的なリソースとは少し違う。増えも減りもしないのだから。「モード選択」を表すトークンとでもいうべきだろうか。
 船に積んでいる商品を変更するためには、手番が1回必要だ。つまり、リソースとして数えるべきは手番という時間のほうだろう。
 他にリソースとして持っているのは、相場を変えるための手札と、お金。
 限られた手番回数で、他人の手札を読み、決算の起こりそうな商品や相場が高くなりそうな商品を選択する。あるいは、手札にカードを集めてから一気に相場を変え、瞬間的に大きな利益を獲得する。
 交易というより相場師なんだが。いや大して変わらないか。

 もっとも、じっさいにゲーム中にプレイヤーが考えることは、いかに稼ぐかというよりも「他人との差」だ。なにしろ、決算を起こすと他人も得をしてしまう。いかに多額を稼いだとて、他人も同じだけ稼いだのでは意味がない。
 そういうところにつねに気を払う、とてもゲームらしいプレイが求められる。

 とにかくルールがシンプルなので、インストには苦労しない。
 そのくせ、スペシャルカードの選択でいろんな作戦を考えられる。そして30分で終わる。
 たとえばなにか、他の重量級ゲームの一部として組みこまれていそうなシステムだなーとも思う。たとえば、ワーカープレイスメントにこれを組みこむのは難しくないよなあとか。それほど、拍子抜けするほどシンプルなのだ。
 でもその中に、なにやらいろんなエッセンスが凝縮されている気がする。

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けがわ -2009/10/06 04:01
交易王は個人的には2007年のナンバーワンゲームです。この手の相手の動向推測して流れに乗ると言うゲームはクニツィアが得意とするところですよね。インターアクションも多いし、ゲーム慣れしてない人でも楽しめます。あまり知られていませんが、1995年のフェーケライと言う豚のビューティーコンテストゲームのリメイクです。しかし手が加えられていてプレイ感はかなり異なります。特殊カードはバランスもよく良い味を出していると思います。使わなくても流れによっては勝てるしね。

ところで手番でカード補充を選んだ場合は3枚でなく2枚だと思います。


てらしま -2009/10/06 20:35
 どうもですー。
 2枚でしたね。なおしました。

 この手のゲーム、じつは個人的には、それほど好きなほうじゃなかったりします(笑) インタラクションが強すぎて、けっきょく読めなかったりすることが多いあたりが。
 このゲームにもそんなところはある気もしますが(笑)、でも交易王はかなり好きなんですよね。
 豚のビューティーコンテストは知らなかったです。


2009/09/30 02:56

ファウナ
 ボードゲーム

2009/09/30 02:56
ファウナ
FAUNA
2009年
Huch! & Friends
Friedemann Friese
2~6人
60分
thx to play:game
amazon
ファウナ
2009/09/30 03:08 ボードゲーム

 見たこともない動物の絵と名前が出されて、その動物の生息地、体長、体重、しっぽの長さを当てるというクイズゲーム。
 ルールは非常にわかりやすい。お題の動物カードがまず示されるんだが、カードの下半分が隠れるような箱が用意されていて。上半分には名前と絵しか見えない。
 ボードには世界地図と、身長や体重をベットするためのマスがある。
 お題に対して、プレイヤーは「ここだ!」と思う場所に自分のチットを置き、ベットしていく。
 ベットに正解すれば得点。
「となり」に賭けてしまった場合も、ニアピン賞が入る。
 まあ、それだけだ。

 ルールがシンプルだし、非常に直感的だ。インストは5分で終わるだろう。
 テーマもわかりやすく、老若男女問わず楽しめる。彼/彼女が動物学者でないかぎり。
 プレイヤーを選ばず盛り上がる。そういう意味では、非常にいいゲームだ。
 動物カードは360枚入っているらしく、何度もプレイできる。

 でも個人的に、このデザインには疑問がある。
 たとえば、我々がカタンの開拓者たちを遊んだ時間と同じだけ、このゲームをプレイしたら。
 360枚のカードの、大部分を憶えただろう。そうじゃないだろうか?
 いや、まあ、わたしは記憶力が弱いので自信はないけど。
 人間の能力はバカにしたモノでもない。特に子供は、非常に頭がいい。本気で好きになれば、360枚を憶えるくらい造作でもないと思う。
 わたしたちが子供のころ、モビルスーツの名前をいくついえただろう。キン肉マンの超人の名前は? ふっかつのじゅもんはいくつ憶えていただろう?
 そういう意味で。
 はじめから、やりこみを前提としてないデザインという気がする。
 そこに、少し疑問を感じてしまったりする。

 ああでも、拡張はすぐに作れそう。
 それに、たとえば動物のネタが尽きても、次は昆虫とか、花とか、いろいろできる。なんなら、指輪物語とかクトゥルー神話とかでも作れるなー。
 誰かの野球カードのコレクションを、そのままゲームに転用したっていいか。

 まあ現実には、このゲームをそんなにやりこむということはたぶんない。盛り上がるゲームなので、不特定の人たちが集まるゲーム会などでは重宝できると思うが、何度もくりかえし遊んだりはしないだろう。
 ゲームとしてどうかというより、シンプルに楽しい。買って損をするとは思わないかな。

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2009/08/24 00:10

スモールワールド
 ボードゲーム

2009/08/24 00:10 てらしま

 ビンチというゲームのリメイク。
 ビンチは好きなゲームなんだけど、いまどきの基準からすると長すぎる、という重大な欠点があって。メンバーにもよるが、大人数でやると、ふつうに5時間とかかかる。そのため、もはやほとんどプレイできないゲームになっていた。
 実際問題としてだ。新しい軽いゲームを5個やって、その中のひとつがアタリならいいというやりかたと、5時間かかる既知の傑作ゲームをやるというやりかた、どちらがいいというということはないのだが、前者のほうになりやすいのはまあ、しかたのないことだ。新しい話題を得られるわけだし。
 コミュニケーションの手段としてゲームをするなら(これに異論のある人はまずいない)、新作の、かつ短時間ゲームを遊ぶほうが、話題を増やす効率がいい。
 というような世間の流れがあるなか、ビンチがリメイクされたわけだから。まずはプレイ時間短縮のための改良がなされているだろうことは想像がつくし、じっさいそうなっている。

 ゲームシステムのほうは、ビンチとほとんど変わらない。ビンチのレビューは過去に書いているので、そちらを読んでいただければいいかと思いますが。
 なので、変わったところを書くと。
 まずは、一番大きいのは世界設定の変更。前回の世界設定は、有史以前のヨーロッパだった。
 ヨーロッパにあちこちから蛮族が侵入してきて、そいつらが好き勝手に国を作り、ひとときの栄華を築くもののすぐに衰退する。そうして力を失った王国は、また新たにやってきた蛮族に蹂躙される。それをひたすらくりかえす。というゲームだった。
 蛮族は毎回違う能力を持っていて。それは、袋から引かれる2枚のタイルの組み合わせで表現されていた。タイル一枚一枚には、その種族が持つ特殊能力がアイコンで示されていて。各種族はタイル2枚分の能力を持っていて、タイルの組み合わせはたくさんあるから、いろいろな種族がやってくる。そのへんがおもしろいところだったわけだが。
 今回のテーマは、ファンタジー。前回はただのアイコンの組み合わせだったものが、今回は「トロル」とか「エルフ」とか、ちゃんと名前がついている。
 これは非常にいい改良だと思う。名前があるというのは重要なことだ。
 タイルを2枚組み合わせるというところも、前作からひきついでいる。2枚のタイルをつなげると、種族の名前ができあがるんである。
 たとえば「空飛ぶ」「ジャイアント」とか。「ドラゴン使いの」「エルフ」とか。おもしろい。

 ただこれ、日本語版については、ホビージャパンのやっつけ仕事っぷりはいつもどおりで。
「要塞を設ける」とか「富裕な」とかにはさすがにあきれた。「設ける」? こういう翻訳をした人は、いまごろ恥ずかしくなってるだろうと思うのだけど。でも残念。もう世に出てしまっている。
 もう一回いってやろうか。「要塞を設ける」だ。種族名を作ってみるなら「要塞を設ける オーク」だ。
 せっかく雰囲気を大事にしてリメイクされたゲームなのに、これではだいなしなんである。
 翻訳だけではない。箱に、できあいの明朝体で下品に上書きされた「日本語版」の文字といい(明朝体を横書きで使ってるだけでも許せない)。けっこう、いろいろとよくないところがある。
 英語版買いなおそうかと、いま本気で考えているところだ。

 とはいえ、それでも日本語版には価値がある。やっぱり、日本語版のほうがプレイされる機会が多いんである。これはどうしようもなくそうだ。最近のホビージャパンの翻訳ラッシュは、あれでちゃんとありがたい話なんである。
 もう少しだけ品質にこだわってくれれば、いうことないんだけど。

 余談はやめて話を戻すと。
 変更点は世界観だけじゃない。ゲームを短くする工夫として、ゲーム終了条件が変えられている。
 ビンチの終了条件は「誰かが100点を獲得したら終了」。だけどじつは、あれは長すぎた。種族は登場すると1~2ターンでワーっと広がり、勝利得点も稼ぐ。だけどこのゲーム、その先はもう衰退しかない。衰退したら、前の種族からはなにもひきつがずに次の種族が現れるというわけで、けっきょく、生産が拡大しない。
 終了条件は50点でも100点でも変わらないんである。だからだいたい、ゲームが長くなりすぎてだれるから、「50点で終わりということにしよう」みたいな話になりがちだった。ようするに、終了条件が適切でなかった。
 今回の終了条件は「8ラウンド終了時点」。そう、それでいいんだと思う。
 もっとも、それでも60分以内には収まらなかったけど。

 他にも、ビンチにはあった細かいルールが省かれるなど、ルールの整理がおこなわれている。
 完成度はだいぶ増している。ビンチはもともと好きなゲームだったけど、スモールワールドのほうがいい。
 ビンチがメジャーバージョンアップを果たしたのだ。旧バージョンはもう必要なくなるかなと思う。

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白熊 -2009/08/31 22:58
面白そうですねースモールワールド
うちのメンツはMtGが主体なんで、ファンタジーモチーフだとウケも良さそうだし。

でも2ちゃんのスレでも話題になってましたけど、エラッタはどの程度のものなんですか?
プレイに大幅に差し支えるほどアレならちょっと…と思ってます。


てらしま -2009/09/01 08:34
 今回は、エラッタについては、プレイにほとんど支障ないと思いますよ。
 あとは、上にも書いてるおもしろい翻訳をどこまで許せるかですが。

うちのメンツはMtGが主体なんで、ファンタジーモチーフだとウケも良さそうだし。

 そうなんですよねー。軽いゲームではないですが、そういう意味で使いやすいゲームかもしれないという気がしてます。


白熊 -2009/09/02 21:53
レスさんくすです。購入を検討してみます!

おもしろ翻訳はもう、長年HJ訳のMtGプレイしてますんで耐性がっww
そういえば2,3年前にMtGの日本代理店がHJからタカラトミーに移ったんですが
それ以降はおもしろ訳の話は聞いてないっすね~
やっぱ元凶はHJだったんですかねぇ…。


rock -2009/09/11 00:19
>「要塞を設ける」とか「富裕な」とかにはさすがにあきれた。

これはちょっと言いすぎではないかと思います。
設けるには、創設するという意味が有りますし、ファンタジーの源泉の一つである神話でもよく出る表現です。たとえば北欧神話では、設けるという言葉はよく出ます。著しくファンタジーの雰囲気をこわしているとは思えないです。『富裕な』もあきれるというほどではないと思います。
むしろ権力をよく表している言葉です。スモールワールドには非常に
ふさわしい。


てらしま -2009/09/11 02:13
 どうもです。
 いいすぎとも思っていませんが、とらえかたが違うようですねえ。そういうふうにとらえたほうがいいということでしょうか。
 たとえばなにかファンタジー小説を1冊持ってきて、そこに登場するひとつの種族名を全部「要塞を儲けるオーク」に置換してみたら……、と考えていただければ、わたしの感じた絶望がわかっていただけるかと思います。読めたもんじゃありませんよね。
 いまどきこんな言葉は、文章でもなかなか使いません。神話にそうした言葉がよく出てくるのは、文筆家が書いた文章じゃないからではないかなあと思います。
 ゲーム中にも、わざわざ「要塞を設ける」なんていってられません。英語に置き換えて呼んだり、「要塞オーク」と短縮したりしています。たぶんそれはみんなそうかと思います。
 それなら「要塞」でよかったなあと。たとえば「地下世界の」も「地底」でいいでしょう。「要塞オーク」や「地底エルフ」ならいそうです。

 まあたしかに、激しく間違っているというわけではありませんが。むしろ、間違えないように訳したように見えます。
 個人的には、少なくとも呼べる名前になっていないと、雰囲気を大切にしたとはとてもいえないだろうと感じています。


rock -2009/09/11 13:43
>全部「要塞を儲けるオーク」に置換してみたら……

なるほど。確かに読むことを前提にしたらものすごくゲンナリするのは分かります。私もそうは読んでいません。
確かに捉え方がかなりちがいますね。
私の場合、呼びにくい名前でもかまわないと考えています。適当に呼称をつけますから。ボーナンザがものすごく顕著です。コロレットもクラスの女子が、ピンクのカメレオンは誘惑をするのよといって楽しんでいました。
ただできれば呼べる名前の方がいいかもしれませんね。

神話は確かにそのような面があります。どちらかというと「読むことを前提としていない表現」があるのです。北欧神話の場合、ものすごく過剰表現になると、鯨を「海に遣える使者」、戦いを「剣の嵐」のような表現がバンバン飛びます。(このように一つの単語を二つ以上の言葉に置き換える表現をケニングという。)


rock -2009/09/11 13:55
あとこのゲームはすごい面白いですね。
日本語版が出て、しかも5500円で買えて、中身を見たらものすごくコンポーネントが
良くて驚きました。カードゲームはノリで買いまくっているけど、ボードゲームになると
とたんに慎重になります、私は。なぜなら高いからです。
持っているのは三つだけです。マハラジャとエルグランデスモールワールド
あと結構早く終わるので、もう一回やろうとか、次はあの種族で・・とか、
いろいろ楽しめます。


てらしま -2009/09/11 22:50
 いろいろ書いてるけどおもしろいのは同意です。好きなゲームだし。それはもう一度書いておきます。だからこそがっかりしたんですけど。


2009/08/17 23:48

ロール・スルー・ジ・エイジズ 後期青銅器時代
 ボードゲーム

 ロール・スルー・ジ・エイジズに、公式の追加ルールが出ています。
 その名も「The Late Bronze Age」。
 後期青銅器時代、ですね。

 大方の予想どおり、プレイヤーシートが違うんである。
 このゲーム、ペグボードだけがやたらと凝ってるんだけど、他にチットのたぐいはないというゲームで。
 そのかわり、各自に白黒のペラ紙シートが渡されて。プレイヤーが鉛筆を用意してくれという、なんともアンバランスな作りになっていた。
 理由は明白。拡張ルールのためであろう。ペグボードは共通で使い回し、シートのほうを差し替えることでゲームを拡張するんである。

 公式サイトから、その拡張プレイヤーシートのPDFをダウンロードできるわけです。

 New Games Orderに、日本語版もあります。英語でやってたけど、気づいたら翻訳があった(笑)。

 そもそも、最初からシートに「青銅の時代」って書いてあったし。シートを差し替えるんだろうなとは思っていたものの。
 考えてみれば、このシートだけを販売というのもちょっと単価が安すぎる気がする。はじめから、PDFダウンロードでアップデートをかけるつもりだったんだろうか。
 コンピュータソフトウェアでは、定期アップデートによるサポートがあたりまえになっているわけで。そういうイメージだと思えばいいんだろうか。今後どうなるのか少し気になる。
 次は「鉄器時代」かなあ。石器時代にまさかの逆行!とかもありえるのかなあ。

 今回の拡張ルール。なんと、ゲーム終了条件が変わっている。
 もともと「いずれかのプレイヤーが進歩を5つ獲得したら、そのラウンドでゲーム終了」だったものが、「進歩を7つ」に変更されたのである。
 シートの交換だけでそんなところまで変えてしまう、この柔軟性の高さ(笑)。
 他にも、船の建設というルールが追加されたり、他人との交渉が加わったりしている。進歩のいくつかは、コストや効果が調整されていたりもする。

 この変更から、なんとなく感じることがある。
 そもそも、進歩5つで終了というルールはなにかがおかしかった。と思う。
 誰がやっても、感想は「短い」だった。進歩をいくつか獲得し、生産力も上がってさあこれから! というタイミングで、それを見計らったように終わってしまうんである。
 もし、それがデザイナーの意図どおりでないとしたら。
 などと、想像してしまう。
 そもそも、拡張ルールとして発表された「後期青銅器時代」のほうが本番なんじゃないか。
 ……そう思えてしまうほど、基本ルールの弱点をいちいち補強した内容になっているわけなのである。読んでていちいち納得できた。

 まあじっさい、基本ルールはゲーム時間を30分以内に収めるためにいろんなものを圧縮したのかもなーとは思うわけで。
 そんなことを思うので、できれば「後期青銅器時代」のほうをやりたいと思うわけなのだけど。

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2009/08/17 02:57

ダイヤモンドクラブ
 ボードゲーム

2009/08/17 02:57 てらしま
ダイヤモンドクラブ
Diamonds Club
2009年
Ravensburger
Rüdiger Dorn
2~4人
90分
thx to play:game
amazon

 意外におもしろくてびっくりした。タイトルといい、箱といい、そこはかとなく期待できない感じがしていたのだけど。
 いわゆるワーカープレイスメントである。
 これは大事な情報だ。このタイトルと箱ではなかなか想像できない。だからもう一度書くけど、ワーカープレイスメントなんである。
 てらしまはワーカープレイスメントが好きなんですが。

 ワーカーという言葉はつかわない。配置するのはお金だ。盤面のワーカー配置ボックスにお金を配置し、配置したら即効果を実行する。
 このあたり、若干混乱する。ついお金のことを「ワーカー」とか「労働者」とか呼んでしまったりする。まあそれで不都合もないけど。

 わりとまともにワーカープレイスメントなんだけど。配置のしかたがおもしろい。
 盤面には、四角のマス目が並んでいる。これらがワーカー配置ボックス。ここに、お金を配置していく。
 ちなみに、配置したら即座に効果発動のアグリコラ式。ふつうワーカープレイスメントは、プレイヤーごとに色を分ける。でも効果が即時発効なら、ワーカーを色分けする必要がない。だからこのゲームでは、お金チットが全部同じ色だ。
 まあどうでもいいことだけど、なんか新発見だった。
ダイヤモンドクラブ とそれは余談だが。そのお金の配置方法。
 基本的に、ひとつのボックスにはお金をひとつ配置すると効果が得られる。ボックスは一度ずつしか使えない。
 ただし「縦か横のとなりのボックスにすでに配置されている」場合は、となりに置かれているお金の数だけ高くなる。
 このルールが大変おもしろい。

 ワーカープレイスメントは非常に洗練されたシステムで、おもしろいゲームが多いんだけど。その代わり、システムをいじるのが難しい。
 人数制限のあるボックスにワーカーを配置するとすることで、インタラクションもルールのわかりやすさもすべて解決してしまうわけなのだけど。そのかわり、あまりに完成されたシステムだから独自性を発揮しづらい。
 しかしもちろん、ゲームデザイナーとしては、オリジナリティのないゲームを作るわけにもいかないだろう。
「ワーカープレイスメントを必死に考えて、ルールを整理していったらストーンエイジかケイラスになっちまったー!」
 というデザイナーたちの苦悩が想像できる気がしてるわけだけど。
 いろいろな要素を追加したり、ワーカー配置ルールそのものをいじったり。といったことを試みたゲームは、じっさいいくつか見た。でもなかなか成功したものは少ない気もする。
 ワーカープレイスメントならなんでもおもしろい!というわけでもなく、むしろシステム自体が完成されすぎているせいで、そういう難しさがあるのかもしれない。と思う。

 そんな中で、ダイヤモンドクラブ。このワーカー配置ルールはとても斬新だし、おもしろいんである。
 ここの印象が非常に強い。あまり派手な部分ではないけど。
 ワーカーを配置する場所は「市場ストライプ」というものを並べて作る。これが毎ラウンドランダムで変わって、これもおもしろい。
 その他の部分は、わりとふつうのワーカープレイスメントなんだけど。「○○能力を強化」するボックスがあったり、ワーカー(お金)を増やすボックスがあったり。なにかを生産するボックスがあったり。

 地味ながら斬新なワーカー配置ルールで風味づけされた、じつはけっこう素直なワーカープレイスメント。なんである。
 じつのところ、60分強以内で終わる軽めのワーカープレイスメントがほしいというのは常々思っていた。ストーンエイジ以外で。
 それが、意外なところにあったー。という。
 メビウス便の積ゲームの中に、いままで埋もれてたんだけど(笑)。こういうことがあると、新しいゲームをばりばりやりたくなってくる。

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てらしま -2009/08/17 21:45
 若干修正。


2009/07/28 02:08

リビングストン
 ボードゲーム

2009/07/28 02:08 てらしま
リビングストン
Livingstone
2009年
Schmidt
Bnjamin Liersch
2~5人
60分
thx to play:game

 リビングストンといえばゲームブック作家のイアン・リビングストンだけど、残念ながらそっちじゃなくて。アフリカにいったことで有名な探検家のほうのお話。

 なんかボードに川があって。
 川に船が浮かんでいる。この船は左から右に1歩ずつ進んでいって、ゲームの進行を表している。
 川の上には、なにやらマス目が並んでいる。縦は6マスで、1から6の数字が横に書いてある。6というのは意味深な数字だけど、まあそのとおりサイコロの出目を表していたりする。
 横は10マスくらい。これは、船が進んでいくラウンド数を表す。
 ラウンドのはじめに、人数×2個のサイコロを振る。
 その後各プレイヤーは、順番に、出たサイコロの中から1個を選んでいく。
 人数×2個のサイコロがあるので、これは2周くらいする。ただし「前回とった目よりも大きい目」しかとれないというルールがある。2をとったら、次は3以上しかとれない。
 サイコロをとったら、その目を使ってターンのアクションをやる。
 選べる行動は、下の4つ。

  • 出た目に応じた位置にテントを置く
  • 出た目の数だけお金をもらう
  • 出た目の数だけ、袋から宝石を引く
  • イベントカードを1枚引く

 イスファハンを思い出すルールである。
 いろいろできるようだがじつはそうでもなくて。宝石はけっきょくお金になるし、お金はテントを張る資金になる。最終的な得点源は、ほぼテントのみだったりする。
 テントは、1の目なら1の行、2の目なら2の行という具合に置ける。そして、この出目と同じ得点が入る。6なら6点である。
 それに加え、ゲーム終了時にも得点が入る。この得点は、数字が小さい行のほうが高い。各行でテントの数を比べ、もっとも多く置いているプレイヤーに何点、という得点が入る。
 6の目の直接得点が強いけど、あえて小さい目を狙ってゲーム終了時得点を目指すこともできる……という、まあ少なくともそういう意図は感じる。

livingstone.jpg

 そんなゲームなんだけど、もうひとつ。
 各プレイヤーには、謎の貯金箱が渡されるんである。
 これもまあ、なんとなく想像できるとおりのもの。大勝負とか他のいくつかのゲームで見たことある、寄付金である。ゲーム中に、この箱の中にお金を投入していって。ゲーム終了時にはじめて箱を開け、もっとも寄付金の少ないプレイヤーの敗北、という奴だ。

 このボードがいい。と思う。絵がきれいとかそういうことではなくて、ラウンド数と得点が一目でわかるチャートでもありゲームボードでもある、というのはなんかいいと思った。
 ただ、それが必要かというとどうだろう。
 他のゲームでは、ここまで親切に整理されていなくても楽しめていた。可能性はあると思うけど、まあぶっちゃけ、6マスで事足りてたよねといえばそうかな。

 個人的には、好きなゲームではない。まあやってれば楽しいんだけど。
 イスファハン風のダイスとか、テーベの東風の袋を使った発掘とか、寄付金ルールとか、なんとなくちょっと、いろんなゲームからいろんなものを寄せ集めたような、品のなさを感じてしまう。
 それらがちゃんと噛みあっているなら文句のいいようもないけど。このゲームに関してはそうでもない。
 袋を使った発掘自体は楽しいが、どうせ全部お金になるだけだ。それならサイコロでいいんじゃないか? というか、サイコロならたくさん入っている。サイコロの乱数の上にさらに乱数を重ねたせいで、ゲームの軸がぶれてしまっている。
 リソースは最終的に、ほぼすべてがテントに集約される。だがじつは、その前の段階ですでに集約されてしまっているんである。宝石というリソースがあるが、これはけっきょくすべて、固定レートでお金になってしまう。お金の用途はただひとつ、テントを買うのみ。
 寄付金というのもあるけど、これはおまけだ。じつは、ゲーム性自体にはあまり影響を与えていない。
 つまり、理屈でいえば、リソースが一つ以上余分だった。少なくともお金か宝石は、もういっぽうとほぼ同じものであり、省いてもよかったものだ。
 リソース数が少ないということは、得点手段も少ないということになる。テントの置きかたで、直接得点とゲーム終了時得点という2つのルートがある。そこは意図されていると思うし、ルールを読んだときはなるほどとも思ったわけだけど。やってみると、それほど機能していない。
 あと、これは単純なデザインミスというべきなんだけど。船の位置によって、テントの値段が変わっていくようになっていて。ゲームが進むにつれ、テントは高くなっていくわけなのだけど。ところが、プレイヤーが手にするお金は増えていかないんである。

 そうした問題を解決するために、ゲームデザイナーがつかう魔法の道具が、イベントカードだ。
 このゲームも、イベントカードのおかげでゲームになっているたぐいのデザインなのである。
 イベントカード自体は悪くない。じっさい、絶妙なイベントカードのデザインで名作になったゲームだってある。でもこれは、デザイナーにとっては罠でもあると思う。 
 大概のゲームは、イベントカードでバランスを調整すれば遊べるレベルになってしまう。しかし、イベントカードはゲーム調整できるけど、ゲームをおもしろくすることはあまりないという気がする。

 というわけで、個人的にはいろいろ不満があるけど。しかしまあ、やっていれば楽しいし、遊べないわけでもない。充分そういうレベルに達しているゲームではある。あと1~2回やってみたいとも思ったり。

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2009/07/14 00:23

オアシス
 ボードゲーム

2009/07/14 00:23 てらしま
オアシス
OASIS
2004年
Amigo
Alan R.Moon & Aaron Weissblum
3~5人(4人)
60分
thx to play:game
amazon

 傑作と呼ばれることがあるゲームだけど、やったことなかった。最近やったのだけど、たしかにおもしろい。
 陣取りゲームなのだけど、いろんなところに細かい工夫がなされている。
 舞台はゴビ砂漠らしい。砂漠の民族の一員となり、広い土地と財産を手に入れる。

 まず、自分のデッキからカードをめくる。1枚だけでもいいし、たくさんめくってもいい。めくる枚数が少ないほど、デッキに補充できるカードが多くなる。
 これを全員がやる。全員の前に、数枚ずつのカードが提示される。
 各プレイヤーは、地位タイルというモノを持っている。この地位タイルには、プレイ順を表す数字が書かれている。この順番にしたがい「自分以外のプレイヤーが提示したカード」をとっていく。
 そうしたら、自分の地位タイルをその相手に渡す。つまり、1番に選ばれたら、次のラウンドで1番になれる。
 もちろん、1番は選択肢が多いから、有利だ。しかもそれに加え、タイルを1枚追加で配置できるという特権までついてくる。この1番タイルは「族長」と呼ばれる。
 つまり、できるだけたくさんの贈り物を提示したほうがいい。けれどもちろん、贈り物をしすぎれば財産を失う。財産というのは、各自に与えられているデッキのこと。贈り物の枚数が少ないほどデッキの補充枚数が多いというルールだから、毎ターン多くの贈り物を出し続けることはできない。

 この提示したカードには「贈り物」という名前がつけられている。贈り物をできるだけたくさんすると高い名誉を得られる、というどこかの民族の風習を思い起こさせる。
「ポトラッチ」とかいったかと思うけど、あれはアメリカ大陸の話だった。ゴビ砂漠にそんな風習あったのかどうか知らない。

 このあたりの贈り物ルールがまずおもしろい。
 無駄がなくよくできているし。族長になるためにたくさんめくるのか、このラウンドは我慢するのか。選択肢はどうせ「もう一枚めくるかどうか」くらいのものなんだけど、これが楽しい。

 さてしかし、陣取りゲームなのである。ボードにはたくさんのマスが描かれている。そこに置くタイルもたくさん入っている。

 贈り物でもらったカードには、なにか絵が描かれている。そこに描かれているモノをもらえるんである。
 地形タイルをもらったら、それをボード上に置く。「自分の土地」はかたまり4つまでしか主張できないから、地形タイルは、すでに置いた地形タイルのとなりにつなげて置いていくことになる。
 そうやって、自分の土地が増えていく。
 しかし、それだけでは得点にならない。各地形に対応する「得点マーカー」が必要になる。
 ゲーム終了時の得点計算方法は、基本的に「土地の数×対応する得点マーカーの数」だ。
 ボードを横切るシルクロードに配置できる「ラクダ」なんてのもあるけど、これも得点方法は地形タイルと似たようなもの。
 陣取りではあるし、土地はたくさん持っていたほうがいい。でも土地だけではダメ。というか、得点マーカーがなければゼロ点だ。

 これ、若干、直感に反していると思う。カタンで不毛な最長交易路合戦が起こってしまうような現象が、このゲームでも起こりそうだ。
 なにしろ、盤面の土地は他人と競っているわけでもあるし。つい熱くなってしまいそうだ。
 けれど、じつは土地は、得点マーカーと等価値なんである。
 効率のいいとりかたは決まっていて。「土地と得点マーカーを同数ずつ集める」が正解だ。ゲームボードから受ける直感よりも、じっさいの得点マーカーの価値が高いという気がする。
 ちなみに同じ理屈で、ドミニオン:陰謀のカード「公爵」の適正枚数もわかる。公爵の適正枚数は、つねに「公領の枚数マイナス3または4枚」である。
 これは考えれば誰でもわかることだけど、逆にいえば、少しだけ考えなければわからない。
 ドミニオンはそういうのを考えるゲームだからそれでいいが、こういう陣取りゲームに適したルールかというと微妙かもしれない。というような気も、少しする。
 まあしかし、それは知っている人が最初にいえばいいだろう。
 じっさいはもちろん、そんなに都合よくいくわけではない。陣取りなのはたしかだから、まだ得点がないとわかっていても土地を広げる選択だって、もちろんある。

 あと、直感に反するかもしれない点がもうひとつ。
 たとえば「岩場」という地形タイルが10個あるとき。岩場に対応する得点マーカー1個の価値は10点だ。たとえば、2個ある「草原」に対応する得点マーカー4個よりも高い。
 自然と、できるだけ1色でまとめていくことになる。そのほうが得点が高いんである。
 数字で考えれば明確に、自分にとって高得点な選択肢が見つかる。だが、印象のみでプレイしていると間違える。
 数字を意識してプレイするプレイヤーは、じつはそれほど多数派ではない。このゲームは、数字を考えたほうが明確に有利。だから、はっきりと優劣が生まれてしまう可能性が高いと思う。
 そのあたりは、インストするときに説明してしまったほうがいいのかもしれない、などとも思う。

 地形やラクダにはそれぞれ、配置ルールに特色がある。そのあたりのルールは若干細かいけど、どれもわかりやすいから心配するほどではない。
 地形タイルをどこに置くかの選択が、これまた楽しい。
「このへんか?」「いやとなりかも」みたいな、序盤は囲碁のようなおもしろさがある。じっさい、最初に置いたタイルからはつなげて広げていかなければならないわけだから。他のプレイヤーが飛びこんできづらいようにとか、いろいろ考えたくなるんである。
 陣取りゲームのおもしろさだ。

 贈り物ルールも、陣取りも、どちらもやっていて楽しい。たしかに傑作だ。

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2009/07/13 02:26

片目の海賊
 ボードゲーム

2009/07/13 02:09 てらしま
片目の海賊
Einauge sei wachsam!
2009年
Amigo
Wolfgang Kramer
Michael Kiesling
2~5人(4~5人)
45分
thx to play:game
amazon

 なんか小品っぽい箱とタイトル。海賊というテーマも、地味な佳作みたいなゲームをイメージしてしまう。なんか食指が動かない。なんか。
 でも、そんなわたしの勝手なイメージとは裏腹に、これはおもしろい。システムもいちいち「なるほど」と思わされるし。さすがのクラマー&キースリング。

 とりあえず、やることは「島カード」を買うこと。場に6枚出ていて、値段が書いてあるのでそれを買う。
 買うと、そこに書かれたモノがもらえる。剣と、お金と、宝石だ。
 プレイヤーたちはもちろん海賊なんだけど、それとは別に「片目の海賊」という敵がいる。らしい。片目の海賊も島カードを持っていて、そのカードを奪うためにはカトラスを持って戦わなければならない。というわけで、剣はそれに使う。
 ターンにやることは「島カードの購入」「(剣があれば)片目の海賊が持つ島カードを奪う」というあたり。
 お金は島カードを買うため。カトラスも島カードを買うためだけど、購入と別にやれるから、たくさん持っているとよりたくさんの島カードをとれる。
 ゲームの目的は、宝石をたくさん集めることだ。

 で、すごく感心したのは、同じ色のカードを獲得したときのルール。
 すでに同じ色を持っているカードを獲得したときは、「すべてのその色のカードに書かれている資源を獲得」する。
 前回剣を獲得したのなら、今回は、新たに獲得したカードの資源に加えて剣を獲得できる。何気に拡大再生産ゲームなのである。
 シンプルでわかりやすいし、ゲームに無用なステップを増やしていないし。たしかに拡大再生産を実現しているけど、カードを獲得したときにしか効果がないから、差がつきすぎることはない。これは見事なルールだなあと思った。

片目の海賊 カードにはもうひとつ、宝箱も書かれている。これで、登場するリソースは4つだ。
 お金は、カードの購入に使う。剣は、片目の海賊と戦うために使う。宝石はそのまま得点。宝箱は、ゲーム終了時に各色で1位に7点、2位に4点が入る、いわゆる株券。
 各リソースの役割は明確すぎるほど明確だ。
 宝石で即時得点を目指すか、宝箱でゲーム終了時の大量得点を目指すか。お金で生産力を伸ばし高価なカードも買えるようにするか、剣で枚数を増やせるようにするか。
 最初にとったカードは、その後同じ色をとるたびに効果を発揮する。カードの種類は同じでも、宝石を先にとるか剣を先にとるかで意味がぜんぜん違う。
 つまりこれは、サンクトペテルブルグでいえば、職人と建物と貴族に対応する。アウグスブルグプエルトリコ、あとじつはストーンエイジなど、わたしがここで勝手に使っている(笑)用語でいえば「街系ゲーム」の王道といっていい。
 そういう種類のゲームなのである。
 そういうゲームは長時間ゲーム(最近の基準でいえば)になりがちだ。でも片目の海賊は、そうでもない。なにがすごいって、それがすごい。最近の流行の一派(?)である、いきすぎているくらいのシンプル指向に乗りながら、これをやってるというのがすごい。
 街系ゲームの要素をまとめて織りこんでおきながら、ここまでシンプルなルールとプレイ時間なのである。
 見た目よりすごいことやってる気がする。

 サンクトペテルブルグはすごく好きなゲームなんだけど、最近ああいうゲームはあまり見ていなかった気がする。それは「得点をとろうとしなければとれない」ゲーム性に原因があった気がしている。
 いつ得点をとりにいけばいいのかというのは、考えなければわからない。経験もものをいう。やりこんだプレイヤーや、同系列のゲームになれたプレイヤーに、初プレイの人は絶対勝てないのである。
 そこがおもしろい、というかそれこそがゲームだとも思うけど。カジュアルプレイの場やファミリー向けには向かない。
 また、プレイヤーがどれだけ考えるかわからない。考えれば考えるだけ成果があるからだ。だから、プレイ時間が確定できない。
 片目の海賊も、あるていどはそう。考えなければ勝てないだろう。でも、はじめからカードでバランスがとられているから、漫然とやってもそれなりにプレイできる。そういうふうにできていると思う。
 その中で「俺は宝石を集める!」という意志を示したり、2位狙いで宝箱をとったり、いろいろなプレイができたりもする。
 何気にすごいと思う。おもしろい。

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